2019年1月17日木曜日

【次期スタン】《首席議長ヴァニファール》型ティムールミッドレンジ!【《出産の殻》】

かって、《出産の殻》というカードがありました。

モダンで禁止されたニューファイレクシア産のアーティファクトです。

ツールボックス型のカードとして、カードデザインの際に意識せざるえない、それほどに《出産の殻》を使用したデッキはモダン環境で暴れ、敢え無く御用となったのです。

このカードの強みはたくさんありました。

本当に、たくさんなのです。1枚のカードに長所を詰め込みすぎなぐらい、強いカードでした。


本編に行く前に、このカードの強さを様々なカードを例にあげて説明しましょう。









1)サーチ能力

《悪魔の教示者》を筆頭とした教示者シリーズの強みはサーチ――60枚のデッキの中で最大4枚しか入れることが出来ないカードを、状況に合わせて最適解を選択し手札や山札の1番上に置くことが出来ることです。

いわゆる、シルバーバレット戦術の要ですね。

または、遊〇王能力。

叫ぶと、欲しいカードを引ける。そんな能力、欲しくないですか?



クリーチャー限定で使い減りしないサーチ手段といえば、《適者生存》でしょう。スタンで暴れ、レガシーでは《復讐蔦》+《日を浴びるルートワラ》のコンボが発見され禁止となりました。



2)テンポの獲得


《出産の殻》は、クリーチャーを生贄にして新たなクリーチャーを直接場に出せます。1枚カードを失いますが、マナを支払わなくていいのです。

《霊気の薬瓶》は手札から直接出すことで、圧倒的なテンポを獲得します。《出産の殻》も同様、そして、コストこそ重いですが、手札を経由せずに済むのです。




3)疑似双頭巨人戦

1枚のクリーチャーを生贄に、1マナ重いクリーチャーカードを場に出す。それは、十分にアドバンテージといえるでしょう。

そして、手札がどうあろうと、例えば終盤に引いたマナクリーチャーであろうと、進化の連鎖が始まってしまうのです。

雪だるま様のアドバンテージ――PWや、スタンで禁止になった《霊気地の脅威》に似ています。

《出産の殻》を置いた瞬間に、もう一人のプレイヤーが現れるようなものです。


《霊気地の脅威》は4ターン目ウラモグ召喚のような、理不尽なガチャを対戦相手に押し付けました。《出産の殻》は、あくまで1マナ重いカードなため、そこまでの理不尽さはありませんでした。そう、1枚無限コンボが登場するまでは……。

4)マナコスト

これは、《出産の殻》の狂気を加速させた要因ですね。無色かつファイレクシアマナはふざけています。

ふざけ過ぎています。

だめ、絶対。

《出産の殻》デッキの動きの具体例をあげると、

1ターン目:土地

2ターン目:土地+2マナクリーチャーをプレイ

3ターン目:土地+《出産の殻》をプレイ。

4ターン目:土地+4マナクリーチャーをプレイ。《出産の殻》を使用して2→3マナクリーチャーの変換を実施。

凄い。

そして……新時代の《出産の殻》と称される、《首席議長ヴァニファール》の登場を「ラヴニカの献身」で迎えたのです。

【ティムール殻ミッドレンジ】

クリーチャー:32枚
4《ラノワールのエルフ》
4《培養するドルイド》
4《成長室の守護者》
4《翡翠光のレインジャー》
3《再燃するフェニックス》
1《引き裂くシャーマン》
4《首席議長ヴァニファール》
3《包囲攻撃の司令官》
1《原初の嵐、エターリ》
1《荒廃ワーム》
1《ペラッカのワーム》
1《終末の祟りの先陣》
1《原初の飢餓、ガルタ》

呪文:4枚
4《野生の律動》

土地:24枚
4《根縛りの岩山》
4《内陸の港湾》
4《踏み鳴らされる地》
4《繁殖池》
2《蒸気孔》
4《森》
1《山》
1《島》

ウィザーズが近年MTGにおいて推し続けているミッドレンジ戦略の中でも、コントロール寄りな重めのミッドレンジです。

キーカードはもちろん、《首席議長ヴァニファール》です。


《出産の殻》と比較すると、

1)無色→有色に。

2)レジェンドになり、複数枚置きは出来ない。
3)クリーチャーなため、召喚酔いに影響される。
4)除去されやすい。

と、劣化部分は多数あります。しかし、です。「ラヴニカの献身」には、そんな《首席議長ヴァニファール》を助けてくれる優秀なカードが多数収録されているのです!

まずは速攻を与える《野生の律動》です。+1/+1を選べば除去耐性UP。そして、打ち消されないという1文が、コントロールに地獄を見せます。

無色→有色というマナ縛りも、1マナのマナクリである《ラノワールのエルフ》に加え、2マナのマナクリ界では特筆すべき存在である《培養するドルイド》が収録されました。

《反射池》同様のマナ生成に、順応による強化と3マナ生成。そして、《野生の律動》と極めて相性がいいです。


進化の出発起点として、

2マナ域に《培養室の守護者》
3マナ域に《翡翠光のレインジャー》
4マナ域に《再燃するフェニックス》
5マナ域に《包囲攻撃の司令官》

と手札と盤面を圧倒するカードが多数存在します。

そして、にっちなカードには枚挙に暇がありません。

全ギルドのショックランドとM10ランドが揃ったことで、マナクリーチャーに頼らずとも、マナ基盤は潤沢なのです。

となれば、差をつけるために多色化に向うのは自明の理でしょう。色を足すことは、同型戦を制する近道ですからね。その分、ショックランドが増加するため、アグロに対する耐性は若干低下しますが。

白を足せば《秋の騎士》や《豊潤の声、シャライ》、新《拘留の宝球》である《拘留代理人》。

黒を足せば《人質取り》や《墓場波ムルドラーサ》、《ゴルガリの売捨人》、《破滅の龍、ニコル・ボーラス》、《採取/最終》の採用が可能です。

環境に存在する全てのクリーチャーを吟味する必要があり、その選択肢は無数といえるでしょう。

そのうえで、です。

そもそも、根幹は赤緑ファイアーズであり、骨太の攻撃が可能なのです。

多種多様な戦略を実現するティムールミッドレンジに対して――既存の赤緑ファイアーズで打ち勝つのは難しいかもしれません。


《原初の飢餓、ガルタ》を除けば、トークン戦略を掻い潜るのは困難。そして、アドバンテージ合戦では分が悪いです(5マナの神話レアクリーチャー群は……?)。

片方は《ラノワールのエルフ》を後に引くとがっかりしますが、片方はがっかりしない、それだけでも差が出てしまいます。

その分、序盤の動きは緩慢なため、速攻アグロに対しては脆さを見せるかもしれません。

《台所の嫌がらせ》や《スラーグ牙》に比類するような対アグロクリーチャーは存在しません。

また、除去が少ないため、《黎明をもたらす者ライラ》を筆頭とした天使デッキには苦戦すると思われます。

その点を上手く解決したいならば、やはり色を足すべきなのでしょうか。

殻といえば5色というのは自明の理。とはいえ、それは《出産の殻》がアーティファクトだったからですが。

さて、長々とお話してきましたが、《首席議長ヴァニファール》は、NWOに始まるクリーチャーサーチデッキの次代を担い時代を作るカードになれるのでしょうか。

とはいうものの、環境はまだ始まってすらいないのが現状ではあります。

この手の環境に合わせたカード選択が必要なデッキは、環境初期にアグロに食われるというのがお約束なのです。

そして、絢爛を手に入れた赤系アグロのビートダウンは侮れないものがあります。

環境の覇者は、どのデッキになるのか。

まずは環境初陣戦で腕試し――の前に、アリーナにおける先行体験ですね!

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