実質5色土地という、重要な土地カードが登場してしまったのだ。
【エルドレインの王権】のレア土地サイクル公開――次期環境のマナベース考察
今回は宣言されていたように多色土地は収録されず、タップイン制限のある能力持ちランドのサイクルが登場した。
《寓話の小道》――《進化する未開地》の上位互換が登場したため、さらにマナベースを考察していく必要があるだろう。
門デッキ/4色は頭が沸騰する故、省略。
プレビュー期間が終了し、フルスポイラーが公開された。
材料は出揃い、後は上手く調理するだけだ。それがどんな料理になるかはシェフの腕の見せ所である。
【お知らせ】 『エルドレインの王権』カードイメージギャラリーにて、すべてのカードを公開いたしました。https://t.co/ogMuh94kTz#mtgjp #MTGEldraine— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) 2019年9月20日
と、まずは大前提――現環境の土地に関してのまとめである。
・基本土地
・各種ショックランド(友好色+対抗色)
・各種占術ランド(対抗色のみ)
・《寓話の小道》
・《次元間の標》
・タップイン2色ランド(ライフゲイン付き+門)
・無色土地(《爆破域》、《総動員地区》、etcetc)
・エルドレインの城サイクル
・エルドレインのコモン土地サイクル
増えた(小並感)。
増えはしたが、マナベースとして扱い辛い土地がある。エルドレインのコモン土地サイクルと門シリーズだ。コモン土地サイクルは多色デッキでは扱い辛く、門はもちろん門デッキ専用といえるので省略したい。
コモン土地サイクルは、能力の強弱がまだ曖昧なのも勘弁な点だ。
青は強力にみえるが、そこは環境が進んでからだろう。
強いプロがデッキを構築してくれるはずである。
一応、単色――赤単であれば、このようなマナベースになるのだろうか。
まだ、コモン土地サイクルを入れやすい。
【赤単用マナベース試案】
12《山》
4《ドワーフの鉱山》
4《エンバレス城》
《ドワーフの鉱山》の採用枚数は怪しい――2枚程度の方がいいような気がするが、《エンバレス城》は確定4枚だろう。
疑似ラッパ――懐かしき喊声付きと考えると、禁止カードとなった《ラムナプの遺跡》より強いまである。
他の単色デッキは省略。
緑は《世界を揺るがす者、ニッサ》を採用するなら森多めの方が強いだろう。
【エルドレインの王権】で登場した森絡みの2種類は、サイクルの中でも弱く感じる。
単色の次は、2色である。
前回の記事では、友好色と対抗色のマナベースを紹介したが、さすがにがばがばとのことだった。
うむ、がばがばだろう。
というわけで、Standard2020で行われたスペシャルイベント+過去のマナ基盤を紹介しつつ話を進めていく。
Twitch Rivals MTG Arena Special Standard 2020 Challenge Decklists * MTG Arena Zone
The Twitch Rivals tournament for MTG Arena has concluded today, which is a tournament 40 Twitch streamers competed. The format for today's challenge was Standard 2020. With the event currently going on in MTG Arena and pending Standard rotation, this will be a good chance to see what the top players are playing for this diverse format.
まずは、上記のイベントで好成績を収めたデッキから。
プロが参戦しているあたり侮れないし、ブロック構築から次のデッキが生まれるのはよくあることだ。
厳密にはブロック構築ではないし、そもそもその構築は今は亡きフォーマットになってしまったが、概ね似たような感じである。
デッキではなく、マナベースだけ抽出。全容は自身で探してほしい。
【1位:アリストクラッツ】
9《山》
7《沼》
4《血の墓所》
3《血溜まりの洞窟》
マナソース数:赤16/黒14
【2位:ラクドスミッドレンジ】
11《沼》
9《山》
4《血の墓所》
マナソース数:黒15/赤13
【3位:グルール】
9《森》
7《山》
4《踏み鳴らされる地》
4《岩だらけの高地》
マナソース数:緑17/赤15
【4位:シミックランプ】
11《森》
6《島》
4《繁殖池》
4《神秘の神殿》
1《茨森の滝》
マナソース数:緑20/青15
【5位:ボロスフェザー】
8《平地》
7《山》
4《聖なる鋳造所》
4《凱旋の神殿》
1《ボロスの門》
マナソース数:白17/赤16
ショックランドと占術ランドは色が合っていれば当然の4枚採用だが、タップインゲイン付きランドもデッキによっては――友好色に関しては、複数枚投入されている。
ラクドスミッドレンジや前記事のマナソース数をみるに、デッキの安定性を確保できる数字としてみると厳しいため、それも仕方ないのだろう。
基本的に確定タップインランドはあまり使用したくないというのが個人の嗜好だ。
タップインは、序盤のテンポを著しく損なう。
勿論、現環境における占術ランドや、過去に存在したミシュラランドのように、土地でありながら呪文としても換算できるものなら話は別である。
《溶岩爪の辺境》という友好色ミシュラランドの中でも最弱なランドを4枚投入した赤黒ミッドレンジで遊んでいたほどには好きだ。
構築において、1点ゲイン付きタップインランドが許容されるのはブロック構築――そしてコントロールデッキだろう。
【青黒ドラゴンコントロール】八十岡翔太の「青黒ドラゴンコントロール」構築録|読み物|マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト
By 八十岡 翔太 みなさんこんにちは、八十岡翔太です。先日行われた プロツアー『タルキール龍紀伝』 で準優勝したら、なんか「記事書いてくださいよー」と依頼が来たので、ちょっとデッキ構築について書かせていただきます。みなさま最後までよろしくお願いします。 デッキ構築概論 新しくデッキの作り方にはいくつかの方法があると思いますが、僕のアプローチは大きく2つです。 まず1つは、「 ...
4《汚染された三角州》
4《欺瞞の神殿》
4《陰鬱な僻地》
2《華やかな宮殿》
2《ヨーグモスの墳墓》
1《精霊龍の安息地》
6《島》
3《沼》
マナソース数:青20/黒19
あくまで概算であり、2色ランドが持ってこれないフェッチと《ヨーグモスの墳墓》の扱いにより、その数は上下するはずだ。
デッキの安定性を担保した、強固なマナベースである。確定タップインは豪華10枚と、大概な数字である。
タップイン2色ランドがスタンで使われた時代といえば、INV期までさかのぼる。
初出がその時代である。マスクスブロック+INVブロックという、マナ基盤に関してはガバガバな時代だった。
ダメージランド+友好色タップインランドのマナベースは、今見ると何ともいえないが、環境にそれしかないので仕方がないのである。
《リシャーダの港》という強力な土地こそあったが。
友好色タップインランドに関していえば、発表当時は本気でダメージランドより強いという意見もあったのだ――こうして多数のタップイン2色ランドの亜種が作られ続けていることを顧みるに、結果はお察しということだろう。
ここまで来たが、肝心のランドについてまだ述べていない。
そう、《寓話の小道》だ。
単純に2色ランドと言い切るわけにはいかないのがこの手のフェッチランドである。
基本地形しかもってこれないため、このランドに関しては若干数値の低い5色マナソースとして扱った方がいい。
一度使うと、このフェッチは多色マナソースではなくなってしまう。
《血の墓所》4枚は、赤4/黒4として換算できるのはわかりやすいだろう。
《寓話の小道》4枚に関して言えば、青3/白3/緑3/赤3/黒3ぐらいに計算した方がいい。
それでも――スタンダードで、《進化する未開地》の上位互換が出るとは思わなかったが。
4枚以上の土地があればアンタップ可能――この文言で、一気に強くなった。
友好色のマナ基盤も、これで何とか形になったというところだ。
ショックランド+《寓話の小道》+αで、まだ目に優しいマナベースになる。
確定タップインランドの弱点――それはわかりやすく、テンポ損するところだ。
タップインを重ねていくと相手との使用マナ数に差が出てしまう。
4ターン目までゲームを進めるとして、アンタップインのみであれば、
1マナ+2マナ+3マナ+4マナ=10マナ使用可能となっている。
これがタップインのみだと、
0マナ+1マナ+2マナ+3マナ=6マナとなってしまう。
春のタップイン祭りといえば、MTGにおける三大土地事故あるあるの一つだろう。
とはいえ、それはマナソースとテンポの引き換えによるもの。マナソース数の増加はマナ基盤の安定性を担保してくれるため、タップインが一概に悪いとはいいきれない。
テンポよく――均等基本地形24枚のデッキが、強いとは思えない。
ヤソコンたる青黒ドラゴンコントロールも、強固なマナソースと不安定なテンポを持つ。それでもデッキとして勝てたのは、安定したマナソースから強力なカードを放つようにしていたからだ。
そして――アンタップイン可能な多色土地は、テンポ損を防ぎ、マナソース数を確保する、高い土地なのである。
そう、デュアルランドだ。だから高い。だから強い。基本土地タイプを持っていて宇宙。
【ラクドスアグロ試案】
4《沼》
8《山》
4《血の墓所》
4《寓話の小道》
4《エンバレス城》
マナソース数:赤19/黒11
《寓話の小道》があれば、城サイクルのアンタップ条件も達成しやすい。
《ロークスワイン城》の強さには疑問があるので、赤t黒な形。
とはいえ、マナベースからの作成は本末転倒な感じもするが、まあ思考実験程度に。
【シミックフラッシュ試案】
4《森》
4《島》
4《繁殖池》
4《神秘の神殿》
4《寓話の小道》
2《ヴァントレス城》
マナソース数:青17/緑15
次期環境強そうな対抗色アグロであるシミックフラッシュより。
アグロであれば、タップインランドはこの辺りが許容範囲か?
デッキ構成により土地の総数が変わってくるが。
【青黒コントロール】
4《湿った墓》
4《寓話の小道》
4《陰鬱な僻地》
4《島》
3《沼》
4《ヴァントレス城》
2《ロークスワイン城》
1《爆破域》
マナソース数:青19/黒16
コントロールといえば、現代MTGでは26枚が黄金値。
コントロールデッキであれば、タップインのテンポ損を許容できる――そうでなければコントロールではない。
あくまで受け身なデッキであり、先手をとれないため、そもそもがテンポ損なデッキだ。
土地がテンポ損しても何とかなるのだろう、多分。
強いかどうかは不明である。
さて、3色。
弧に属する5種類からグリクシスと、楔に属する5種類からジェスカイを考えていく。
ただし、ジェスカイは、前回同様ジェスカイPWだ。
【グリクシスコントロール試案】
4《湿った墓》
4《血の墓所》
4《陰鬱な僻地》
4《天啓の神殿》
4《寓話の小道》
2《沼》
1《山》
1《島》
1《ヴァントレス城》
1《ロークスワイン城》
マナソース数:黒17/赤12/青17
……心配なマナベースだなぁ。タップインランドを4枚入れないと回らない予感がしてしまうあたり、この基盤は駄目だろう。確定タップイン8枚+《寓話の小道》はさすがにテンポを馬鹿にしすぎているか。
とはいえ、次代のボーラスFAN倶楽部は青黒t赤な感じになりそうなため、こんな感じのマナベースだろうと目論んでいるが、どんなものなのだろうか。
グリクシスカラーの出来事呪文が粒ぞろいなため、可能性は感じる。
赤も黒も青も強そう。
多分環境初期は適度に遊んでいることだろう。
【ジェスカイPW試案】
クリーチャー:10枚
4《砕骨の巨人》
4《厚かましい借り手》
2《城まといの巨人》
呪文:24枚
2《溶岩コイル》
4《轟音のクラリオン》
4《時を解す者、テフェリー》
4《覆いを割く者、ナーセット》
2《王位の跡継ぎ》
2《謎めいた指導者、カズミナ》
4《主無き者、サルカン》
2《目覚めた猛火、チャンドラ》
土地:26枚
4《神聖なる泉》
4《蒸気孔》
2《聖なる鋳造所》
4《天啓の神殿》
2《凱旋の神殿》
4《次元間の標》
3《寓話の小道》
1《山》
1《島》
1《平地》
マナソース数(《次元間の標》込み):青15(19)/赤15(19)/白11(15)
《寓話の小道》を入れることで、マナベースが弱くなっている?――いや、友好色占術ランドがない関係で、必然的に赤マナが過剰になりやすいデッキ構築になりやすいのか。
令和のヴェンデリオンこと《厚かましい借り手》と《覆いを割く者、ナーセット》というダブルシンボルを要求する3マナカードがあるため、青マナは手厚くとりたいところだ。
出来れば城サイクルと《総動員地区》を投入したいのだが、上手くまとまらなかったため、誰かが完成させてくれれば幸いである。
さすがに勝ち手段に乏しいか?
とまあ、つらつらと述べてきたが、《寓話の小道》は凄いとはいえ、環境初期は2色が無難なのかもしれない。
マナベースの格差は、デッキ構築に制限を与える――友好色ランドが追加されなかったのは、個人的好みとしてはかなり残念である。
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