2019年2月8日金曜日

【デッキテク】「ラヴニカの献身」環境におけるイゼットドレイク4つの強み【MOMCQベスト8に四人】

2/3にマジック・オンライン上にて行われたミシックチャンピオンシップ予選最終戦。

スゥルタイミッドレンジはトップメタの座から滑り落ち、イゼットドレイクが上位陣を占めた。

安い/強い/早いという、どこその牛丼屋のようなキャッチフレーズが良く似合うイゼットドレイクの新カードといえば、そう、皆様お馴染みの《プテラマンダー》だ。



渡辺プロが1000枚買えと言ったのは伊達じゃない。当ブログでも何度も取り上げているイゼットドレイクの強さの秘密に迫っていこうと思う。

現在はスゥルタイミッドレンジを主に使用しているが、イゼットドレイクもまた、前環境初期――赤青フェニックスの時代から使っていた善き相棒なのだ。







【イゼットドレイク―MOMCQ2位―】

クリーチャー:12枚
4:《弾けるドレイク》
4:《奇怪なドレイク》
4:《プテラマンダー》

呪文:27枚
4:《航路の作成》
4:《溶岩コイル》
1:《最大速度》
4:《発見+発散》
3:《潜水》
4:《選択》
4:《ショック》
3:《呪文貫き》

土地:21枚
1:《血の墓所》
8:《島》
4:《山》
4:《蒸気孔》
4:《硫黄の滝》

サイドボード
3:《軽蔑的な一撃》
1:《幻惑の旋律》
2:《焦熱の連続砲撃》
2:《パルン、ニヴ=ミゼット》
2:《イゼット副長、ラル》
2:《猛竜の幼生》
1:《シヴの火》
2:《魔術遠眼鏡》

前環境より存在した赤青ドレイクの最新型が上記の形となる。

MOMCQ上位陣に関しては、メインボードはほぼ同様の構成となっている(《最高速度》、《幻惑の旋律》、《標の稲妻》の採用枚数が差異か)。

その歴史を簡単に紹介すると、「ラヴニカのギルド」発売後に登場した《孤光のフェニックス》をフューチャーしたイゼットフェニックスに始まり、

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スタンでは1マナドローソースの不足が祟り、結局デッキから《狐光のフェニックス》パッケージ(《ゴブリンの電解術師》と《急進思考》)は消失。

白をタッチ(《轟音のクラリオン》と《ドミナリアの英雄、テフェリー》)した形がCFBによって開発されたが、時代は「ラヴニカの献身」前夜。

マナベースが不十分ということで使用者は増えず、結局渡辺プロ謹製のイゼットドレイクが完成形となった。

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そして、現在。

《アズカンタの探索》と《パルン、二ヴ・ミゼット》という、重いカードが抜け、最大スペックでは2マナ5/5という驚異的なスタッツを持つ《プテラマンダー》を採用した形が主流となった。

その強みはなんだろうか。

何故ベスト8に4名もの使用者を送り込めたのだろうか。

あくまで、一介のブログ主がつらつらと考えることではあるが、参考になれば幸いである。

・デッキの位置づけ

立ち位置としては、現環境におけるクロックパーミッションである。

《呪文貫き》に加え、疑似的なカウンターといえる《潜水》を組み合わせることで、中速ミッドレンジであるスゥルタイミッドレンジやコントロールデッキにバントネクサスを狩り、タフネス4の飛行クリーチャー群で赤単に対して優位に振る舞う。

理論上最強に聞こえるが、かみ合わせの脆さがあるため腕の差が出るデッキといえるだろう。

クロックパーミッションとしては、もう一つ、青単ゴミビートがある。赤青ドレイクは、除去のある青単として振る舞えるため、有利がとれるはずだ。

・12枚の高品質飛行クリーチャー

12枚――12枚である。

《プテラマンダー》、《奇怪なドレイク》、《弾けるドレイク》という12枚の飛行クリーチャーというのは驚異的な数だ。

スタンにおけるクロックパーミッションといえば、デルバーデッキを思い出す諸兄も少なからずいるだろう。

あのデッキも《秘密を掘り下げる者》、《聖トラフトの霊》、《修復する天使》と強力なクロックを多数有していた。

このラインナップ、攻めっ気の強いクリーチャーが多い点に気づかれただろうか。《修復する天使》は攻防一体であったが、残りの2枚は攻撃一辺倒のカードであり、防御側に回ると結局受けきれないという部分があった。

それに比べて、赤青ドレイクのクリーチャーは攻防一体の存在といえる。

1/1/1飛行という最低限の戦闘能力に、墓地が肥えれば2/5/5飛行という化け物スペックを誇る《プテラマンダー》

3/☆/4飛行に4/☆/4飛行という、除去するには火力がほぼ2枚必要であり、ブロッカーとしてももちろん優秀。攻撃力は自然と増加する2種類のドレイク。

低コストかつ攻防に優れたフィニッシャーを12枚揃えられるのは、クロックパーミッションにとって強みだ。

・《航路の作成》の強化

《航路の作成》は、上手く使えば2マナ2ドローという破格の性能を持つ環境随一のドロースペルだ。勿論2マナ2ドロー1ディスカードでも悪くないのだが、最高値を求めたいのがMTGプレイヤーの抗えない性というものである。

これまでの赤青イゼットであれば、2マナ2ドローで打つには4ターン目以降を待つ必要があり、あまり序盤に唱えるとリソース不足で頓死するという裏目が存在した。

各種ドレイクにより1ディスカードをパワーに変換し、一応のケアをデッキ構築時点で行っているとはいえ、2ターン目に気軽に打つと自身の死を招く場合があった。

前環境で《航路の作成》をもっとも強く使えたのは、青単ゴミビートだ。1マナから飛行やブロックされないといった回避持ちクリーチャーをプレイ可能だったため、2ターン目に2マナ2ドローで打ちやすかった。

そこで《プテラマンダー》の登場である。

1ターン目に出る1マナ1/1は、《航路の作成》を2ターン目に唱えることを是としてくれる。

いや、2ターン目にして対戦相手は負けを覚悟するベストムーブである。

あとは潤沢なドロースペルや火力、妨害手段で、《プテラマンダー》が順応可能となるまで攻め続けるだけなのだ。

・スゥルタイミッドレンジの隆盛

デッキの立ち位置で述べたが、このデッキはスゥルタイミッドレンジに有利に振る舞えるデッキだ。8:2とまではいかないものの、メインでは有利をとれるはずだ。

あくまで有利であり、天敵とまではいかないのはご了承いただきたい。

それだけ、スゥルタイミッドレンジもまた、環境の主軸をはれるだけの戦略の柔軟性を持つのだ。

かの環境王者デッキは、クリーチャー除去が大振りであり、飛行クリーチャーに対するブロッカーも用意し辛い。

《ハイドロイド混成体》が待望の飛行クリーチャーだ。

《野茂み歩き》と《喪心》が序盤の攻防の要となる。スゥルタイミッドレンジが用意する4マナ以降の妨害手段は、イゼットドレイクであれば容易に対抗可能なものばかりだ。

単体除去は《潜水》の的であり、《採取+最終》も《潜水》で躱せる。《プテラマンダー》であれば順応するだけでいい。

《呪文貫き》の2マナ要求もスゥルタイミッドレンジには重くのしかかる。

1マナで4マナ以上の呪文を対処出来れば、おおよそ勝ちだ。《ビビアン・リード》や《採取+最終》を《呪文貫き》で打ち消した時は堪らないだろう。

《貪欲なチュパカブラ》や《ゴルガリの売捨人》が《人質取り》にスロットが変わったのも追い風である。再プレイまでに1ターンの猶予が与えられることが多く、除去が間に合う可能性が増えた。

サイドに採用された《幻惑の旋律》にも注目である。

以前は白ウィニー系(《アズカンタの先兵》や《ペナリア史》)対策が主な目的だったが、カウンターの乗った《野茂み歩き》や《ラノワールのエルフ》、《培養ドルイド》に、スゥルタイの理由である《ハイドロイド混成体》を容易に奪うことができる。

スゥルタイミッドレンジにとって、コントロール奪取は馬鹿にならない破壊力を持つ。もはや弱点の域である。

スゥルタイミッドレンジは1対2交換を仕掛けることが可能だが、逆に1対2交換を仕掛けられるとリソースが欠如してしまう。《貪欲なチュパカブラ》を外したことで、よりその傾向は顕著だ。

門デッキが使う《集団強制》は一撃必殺である。

もちろん、環境が変化すればスゥルタイミッドレンジを狩るだけでは立ちいかない。

それに、環境のトップメタにイゼットドレイクがいるのであれば、それを狩るデッキが生まれるだけだ。

そうやって生存競争の循環が生じれば――ウィザーズの求める、多様性のある環境だ。

ただしネクサス、お前は駄目だ。


・テンポの獲得

テンポという概念――大まかにいえば、いかにマナを使い切り、盤面を優位に保つか――に基づけば、イゼットドレイクほどテンポよく盤面を動かせるデッキは少ないだろう。

現環境において、赤単並にテンポがとりやすい。


1マナ域が多く、さらに汎用性が高ければテンポはとりやすい。《選択》と《プテラマンダー》は主導的に使え、妨害手段として《ショック》に《潜水》、《呪文貫き》を擁している。豊富な1マナ域のカードにより、毎ターンマナを無駄なく使い切ることが可能であり、対戦相手が複数マナを使用したカードを無駄にすることが可能だ。

《プテラマンダー》を2マナ以上のカードで打ち取られても、テンポ損はしないのだ。

手数の多いデッキは、1試合における選択肢がそれだけ増えるということになる。

とはいえ、MTGにおける1試合に仕える時間は限られている。選択肢の多さに畏れ飲まれているようでは、ただの遅延プレイヤーだ。

デッキの熟練度がものをいうが、特有の動きというよりは、如何にして対戦相手の喉元に鋭い刃を突き立てられるか、攻防の見切りが重要になる。

誰が攻撃側で、誰が守備側なのか。その意識づけが必要である。

イゼットドレイクもまた、現代MTGにおける必要不可欠な要素を備えている――攻防自在という点だ。

コントロールにも、アグロにも、そして一撃必殺のコンボデッキとしても振る舞える。

その根幹は、優れたテンポだ。




以上4点がイゼットドレイクの強みになる。

他にも強みは多数ある(サイドボードでのコントロール戦略等)し、もちろん弱点だってある。

マナベースに若干難があるし、2色デッキではあるがタップインランドを許容できない。

とはいえ、何時までも書いていてもしょうがないので、このあたりで筆を置く。

攻守の切り替えやテンポといったMTGの根幹を学べるよいデッキであり、一度触れるとプレイスキルの上達に繋がると思う。

そのうえ値段が安い。

メインボードでもっとも高いカードは土地と、現在のスタンでもトップクラスの安さだ。

アリーナでもメインにおけるレアカードが土地だけなため、ワイルドカードを用いて組みやすいデッキである。土地に関しては、一通り揃えておいて損はない。

一度回していただけると幸いである。



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