2019年5月16日木曜日

MTGの競技シーンの行く末~トンプソンプロの脱退とMPL新規参入メンバー~

渡辺プロの一連の事件により、欠員が出たMagic Pro League(MPL)。

MTG最高峰の舞台として、当時のプロ――プラチナレベルの一部と、ゴールドレベル・シルバーレベル・ブロンズレベルを全員切り捨てたうえで、ウィザーズ肝いりeスポーツ化の看板として、高額賞金を謳い結成されたはずでした。


Gerry Thompsonプロ、ウィザーズに再度三行半を叩きつける。

Why I Quit the Magic Pro League

g3rryt TL;DR: I joined the Magic Pro League in the first place because it seemed easier to make a difference from the inside. I was wrong. The lack of transparency and unwillingness to listen to feedback continue to be huge issues. A lot has happened in six months.

脱退の理由として、上記サイトで6つの項目を挙げていますが、要約するとウィザーズは全くコミュニケーションをとれない組織である』ということでしょうか。

それは、彼が世界選手権2018を辞退したときから、何も変わっていないようです。







元ウィザーズの社員であるGerry Thompsonプロ。

追放の憂き目にあった渡辺プロ。

二人の偉大な選手の代わりを探すなんて、大変な事態です。

選ばれなかったプラチナレベル? 

PTチャンプ? 

直近のMCチャンプ? 

殿堂プレイヤーであり、近年も結果を残し続けるフィンケル? 

母国の英雄であるリューシープロに権利を渡したケルヴィンプロ?

MPLは、MTG最高峰のプレイヤーの集まりです。

プロ・レベルを廃止してまで、開始したんです。そう、その理念は、決してアリーナの客寄せではなかったはずなのです。


ウィザーズ主催の1興行でしょ? という意見がありますが、それまで存在した全世界のプロプレイヤーの大部分を切り捨てて設立したという事実に目を瞑ってはいけないのです。

事実に目を瞑っているなら、現実を見る必要があります。それでいいというなら、いいと思います。

世界は主観で出来ています。自己の認識は、自身で行えません。それは、孤蝶の夢で明らかです。

であるからこそ、――自分は、目を瞑れないのです。


は?

は?

即時発表――こんな時だけ発表の早いウィザーズには唖然としますが、そのメンバーはJanne “Savjz” Mikkonen選手とJessica Estephan選手の加入――本気か?










ハリウッドを中心として一大旋風を巻き起こすMetoo運動。

女性と男性との差別をなくす――それは、素晴らしいことです。間違いなく、素晴らしいことです。とはいえ、女性だからと特別視すれば、それもまた差別となるのは議論の余地がないでしょう。

今回の選出――より多くの女性プレイヤーをMTGをプレイしやすいようにという考えは、何ら疑いようのない素晴らしい考えです!

女性が成績上位者に少ないので特別扱いして成績上位者の集団であったMPLに入れるのは……それは、やはり、差別だと思います。

GP優勝は、チーム戦でのこと。それを稚拙に隠すのも、気に入りません。

欺瞞です。

欺瞞以外の何物でもない。

MTGというゲームは素晴らしいが、その大会運営――彼らの騙るeスポーツが一体どんな存在なのか、もう少し語ってほしいところです。

競技は、全て販促のため――それはそれでいいのですが、もっとどうにかならなかったのか。

本当にこれで、ウィザーズは公正明大な組織といえるのか。

いえるのですかね?

もしいえるというのであれば、それは不思議な考えです。1企業として、営利を追い求めるだけというのであれば、それでもいいかもしれません。

MPL制度は、中堅プロを切り捨てました。

世界各地で行われるGPでポイントを貯め、PTに参戦し、次シーズンの生活を整えるという生活は、もう、送れません。海外のGPに行く意味合いはなくなりました。


そして、今回の新規参入者から窺い知れるのは、上位プロをも滅ぼしたいというウィザーズの意向です。人気配信プレイヤーで固めれば、アリーナ人気は向上するでしょう。

しかし、それは、MPLと別枠でやるべきでは?

いえ、そのために、ミシック・インビテーショナルという過去類をみない高額賞金のイベントを行ったのでは?

1995年から始まるトーナメントシーンの長い歴史は、今のウィザーズにとってたんなる重荷なのでしょうか。

『Play The Game,See The World』

そのキャッチフレーズは、今でも色褪せません。世界各地を転戦し、MTGというゲームを通して繋がっていく。

電脳世界が発達し、今や現実世界の上に新たな次元――情報社会が築かれつつある今日でこそ、彼らの言うテーブルトップの強みが現実との結びつきだったのではないでしょうか。

押野守監督の実写作品に《アヴァロン》という作品があります。

その独特な映像の質、異国の風景、そして何より、ゲームで生きる=生計をたてるということ。

現実世界で英雄になることは難しい。だけど、ゲームであれば?

それは、人類の遥かな夢だったのかもしれません。

吟遊詩人、物書き、棋士――遥かな昔から、数兆の細胞を詰め込んだ脳という神経組織の塊を使い、現実に在る筈のない存在を生み出し、それを現実にフィードバックし生きていく。

絵、言語、映像、そして情報と、想像は現実を侵食し、ポケモンGOのようなARゲームが存在しています。

創造が現実を凌駕し、そうやって糧を得ていく。

とはいえ、ゲームで糧を得ることは難しいです。それを曲がりなりにも――叶えていたのがMTGでした。


MTGのトーナメントシーンに全力投入していた人間の情熱も夢も努力も全てが無駄になる、そんな世界を見たくはなかったです。













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