2019年5月1日水曜日

昭和のカード、平成のカード、令和のカード

平成が終わり、令和が始まった。

突然、何か変わるわけでもなかったし、何なら仕事なのだが、それは一つの節目である。

一国の年号が、変わる。

一人の人間の進退が、一国の全国民を熱狂の渦に巻き込む――古今東西、それは、英雄と呼べる存在なのだろう。

さて、MTGである。

1993年生まれのMTGは、平成のゲームだ。

平成5年以降に全てのセットは生まれており、昭和の時代に生まれたカードは1枚たりともないのである。

とはいえ、である。TCGという概念自体が、平成以後に誕生したにも関わらず、「昭和のMTG」という言葉がまことしやかに存在している。

少し探してみてほしい、何となく感じがわかるはずだ。












これは昭和感がある。

これが平成。

これなら昭和。

令和。

昭和。


昭和(あれ?)。

MTGというカードゲームは、早期にスタン落ちというシステムを採用したため、ゲームデザイン上極端なインフレは避けられている。

インフレは、そのゲームを滅ぼす。

ドラゴンボール? あれは例外。

だから、パワー9よりも強いカードは概ね存在しないし、今後も存在しないだろう。

とはいえ、クリーチャーは徐々に強くなってきている。

《スキジック》や《茨の精霊》が構築一線級のカードだった時代があるのだ。

そして、『灯争大戦』――偶然ではあるのだが令和初となるセットにおいて、ある2枚のカードに着目してほしい。

そのデザインの系譜を辿れば、間違いなく令和のMTGと呼ぶにふさわしいカードなのだ。



《自然への回帰》と《リリアナの勝利》である。


《自然への回帰》

《帰化》というカードがある。

①緑のエンチャントorアーティファクト破壊呪文として、ベーシックな立ち位置にあるカードだ。

このカードの存在が、緑というカラーは置物破壊に優れるということを顕している。

もともと《帰化》は色違いの同型同刷であり、元来は白のカードだった。

リミテッド・エディションから存在する、白の三種の神器の一つだったのだ。

曰く、《神の怒り》

曰く、《ハルマゲドン》

曰く、《解呪》である。

25年である。

《浄化の印章》に《再利用の賢者》等々、様々な亜種が作られてきたが、その根幹は《解呪》であり、《帰化》だった。

25年の歴史を経て、《解呪》の上位互換が登場したのである。

当時はメイン投入が当たり前だったが、今はサイドカードの一角に座れるかどうかだろう。

しかし、これは、令和のカードだ。

《リリアナの勝利》

早期に登場し、背景世界好きを困惑させたカードである。

動画では悪魔の呪いを引き継いだニコルに逆らったことで、リリアナは炎に包まれていたため、どういうことなのか、どうなってしまうのかと話題になったのだ。

そして、もう一点。

いわゆる布告系のカードにおいて、元祖を純粋に超えるカードなのだ。


テンペストに収録された《悪魔の布告》。

クリーチャー除去として、破壊・追放・埋葬に続く第四の手段が、生贄である。

そして、黒の生贄除去をもたらしたのが、哀れな副官をぶん投げる司令官の姿が描かれた《悪魔の布告》なのだ。

その後は《無垢の血》や《血のやり取り》、《チェイナーの布告》等々、様々な亜種カードが存在したが、《真の名の恐怖》やマリット・レイジトークン対策としてレガシーでは現在も使用されている。

そんな由緒正しいカードの上位互換――一応、自分はサクレなくなったが、おおむね関係ないと思われるので――《リリアナの勝利》もまた、令和の幕開けに相応しいカードといえるのではないだろうか。


さすがにこれは、最初に公開できないよね。

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