突然、何か変わるわけでもなかったし、何なら仕事なのだが、それは一つの節目である。
一国の年号が、変わる。
一人の人間の進退が、一国の全国民を熱狂の渦に巻き込む――古今東西、それは、英雄と呼べる存在なのだろう。
さて、MTGである。
1993年生まれのMTGは、平成のゲームだ。
平成5年以降に全てのセットは生まれており、昭和の時代に生まれたカードは1枚たりともないのである。
とはいえ、である。TCGという概念自体が、平成以後に誕生したにも関わらず、「昭和のMTG」という言葉がまことしやかに存在している。
少し探してみてほしい、何となく感じがわかるはずだ。
これは昭和感がある。
これが平成。
これなら昭和。
令和。
昭和。
MTGというカードゲームは、早期にスタン落ちというシステムを採用したため、ゲームデザイン上極端なインフレは避けられている。
インフレは、そのゲームを滅ぼす。
ドラゴンボール? あれは例外。
だから、パワー9よりも強いカードは概ね存在しないし、今後も存在しないだろう。
とはいえ、クリーチャーは徐々に強くなってきている。
《スキジック》や《茨の精霊》が構築一線級のカードだった時代があるのだ。
そして、『灯争大戦』――偶然ではあるのだが令和初となるセットにおいて、ある2枚のカードに着目してほしい。
そのデザインの系譜を辿れば、間違いなく令和のMTGと呼ぶにふさわしいカードなのだ。
《自然への回帰》と《リリアナの勝利》である。
《自然への回帰》
《帰化》というカードがある。
①緑のエンチャントorアーティファクト破壊呪文として、ベーシックな立ち位置にあるカードだ。
このカードの存在が、緑というカラーは置物破壊に優れるということを顕している。
もともと《帰化》は色違いの同型同刷であり、元来は白のカードだった。
リミテッド・エディションから存在する、白の三種の神器の一つだったのだ。
曰く、《神の怒り》。
曰く、《ハルマゲドン》。
曰く、《解呪》である。
25年である。
《浄化の印章》に《再利用の賢者》等々、様々な亜種が作られてきたが、その根幹は《解呪》であり、《帰化》だった。
《浄化の印章》に《再利用の賢者》等々、様々な亜種が作られてきたが、その根幹は《解呪》であり、《帰化》だった。
25年の歴史を経て、《解呪》の上位互換が登場したのである。
当時はメイン投入が当たり前だったが、今はサイドカードの一角に座れるかどうかだろう。
しかし、これは、令和のカードだ。
《リリアナの勝利》
早期に登場し、背景世界好きを困惑させたカードである。
動画では悪魔の呪いを引き継いだニコルに逆らったことで、リリアナは炎に包まれていたため、どういうことなのか、どうなってしまうのかと話題になったのだ。
そして、もう一点。
いわゆる布告系のカードにおいて、元祖を純粋に超えるカードなのだ。
【お知らせ】祝! #すべそれ こと「すべての人類を破壊する。それらは再生できない。」単行本は5月25日発売です!本には、主人公が作中でも使用した《悪魔の布告》のプロモカードが付きます!当時のアート&フレーバーに、新枠プロモ仕様!?ちょっと変わった1枚はいかが?https://t.co/3gAw44GdU6 pic.twitter.com/Z5noaPqlqE— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) 2019年4月16日
テンペストに収録された《悪魔の布告》。
クリーチャー除去として、破壊・追放・埋葬に続く第四の手段が、生贄である。
そして、黒の生贄除去をもたらしたのが、哀れな副官をぶん投げる司令官の姿が描かれた《悪魔の布告》なのだ。
その後は《無垢の血》や《血のやり取り》、《チェイナーの布告》等々、様々な亜種カードが存在したが、《真の名の恐怖》やマリット・レイジトークン対策としてレガシーでは現在も使用されている。
そんな由緒正しいカードの上位互換――一応、自分はサクレなくなったが、おおむね関係ないと思われるので――《リリアナの勝利》もまた、令和の幕開けに相応しいカードといえるのではないだろうか。
さすがにこれは、最初に公開できないよね。
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