2019年7月10日水曜日

【アグロであり】ティムールエレメンタルwith《風景の変容》【コンボである】

幸福とはなんだろうか。

人生における幸せではない。古代ギリシャ時代から続く難しい問いかけではなく、「MTGにおける」、である。

もちろん勝てば嬉しいのは間違いない。

結果が全てではあるのだが、その過程を楽しむのもMTGだ。勝利という一つの結果に辿り着くためのアプローチは多様であり、環境には様々なデッキが存在している。MTGにおいて、勝つための戦略は一つではないのだ。

そうでなければ、環境は最強デッキ1色に染まるだろう。MTGにおいて、そんな時代は多くはない。少なくとも、この環境初期はなおさらだ。

最適解は一つではない――となれば、あとは好みの問題である。どんな戦略が一番ゲーム中幸せなのかというプレイヤーの嗜好によるはずだ。

MTGの戦略は、個々のカードが織りなすもの。デッキに詰められたカードの中に、プレイヤーの好みが現れる。

《残酷な根本原理》で莫大なリソース差をつけた時だろうか。

《墓所のタイタン》を無人の荒野に叩きつけたときだろうか。

《龍神、ニコル・ボーラス》で少しずつリソースを削るときだろうか。

幸せ、だよね?

《停滞》でロックをかけたときかもしれない。

《沼》→《暗黒の儀式》→《ファイレクシアの抹殺者》を《ショック》で返したときかもしれない。

先手《山》→《ゴブリンの先達》に対し、トップ《平地》を見せてからの《魂の管理人》プレイかもしれない。

人によって幸せな場面はそれぞれなのだが、非常に幸福感のあるカードとしてよく挙がるのが。


多幸感

《不屈の追跡者》だ。

土地を置くと、「手掛かり・トークン」が出る。生贄に捧げると、1ドローが出来て本体が育っていく。

土地を置くという、本来それ自体は意味を成さないものから貴重なリソースを生むカードである。2枚目、3枚目と場に出すと、その効果は重なっていき、脳汁飛び出ていく。

無から有への変換こそ、MTGプレイヤーが求めるものだ。MTGはリソースの取り合いであり、1対1が基本、そこにどれだけ上乗せできるかである。

《不屈の追跡者》は無限のリソースを生み出し、巨大なクロックを盤面に用意する化け物だった。

基本セット2020で、《不屈の追跡者》感のあるデッキが完成した。

1枚で、《不屈の追跡者》並みのカードは存在しない。しかし、デッキとして、60枚全てを使えば?

その主軸は、エレメンタルシナジーだ。

場にいるととても幸せを感じる








【ティムールエレメンタル】

クリーチャー:24枚
4《ラノワールのエルフ》
4《枝葉族のドルイド》
4《発現する浅瀬》
2《生ける竜巻》
4《乱動の座、オムナス》
3《茨の騎兵》
3《ハイドロイド混成体》

呪文:10枚
4《成長のらせん》
2《溶岩コイル》
2《風景の変容》
2《世界を揺るがす者、ニッサ》


土地:26枚
2《森》
4《踏み鳴らされる地》
4《繁殖池》
3《蒸気孔》
2《内陸の港湾》
4《根縛りの岩山》
3《神秘の神殿》
1《天啓の神殿》
2《死者の原野》
1《総動員地区》

サイド
2《否認》
2《夏の帳》
2《幻惑の旋律》
2《溶岩コイル》
2《打ち壊すブロントドン》
2《伝承の収集者、タミヨウ》
1《ムラーサの胎動》
1《ショック》
1《丸焼き》

《発現する浅瀬》は幸福度の高いカードだ。

本体は3/1/1というひ弱なスペックだが、能力が凄まじい。

このカード以降、全てのエレメンタルが《とぐろ巻きの巫女》になる。




ソーサリードロー呪文の弱点は、プレイして即座に使えるわけではない点である。たとえば、《予言》の2ドローで土地を2枚手札に加えても、結局は2ターンにかけて処理する必要がある。それがもし呪文であっても、使用するマナが足りなければターンを跨ぐ必要がある。

インスタントであれば隙が少なく、クリーチャーのCIP能力であればテンポロスを補える。

このエレメンタルの能力は、テンポロスを防ぐのみならず、土地をプレイ可能なため、通常のドローよりも強力になっており、幸福になれる。

しかも、その後のエレメンタルは全てであり、重ね張りすると偉いことになる。雪だるま式のアドバンテージを重ねていくため、MTGの文脈では強い、だ。

CIP能力を持つシステムクリーチャーという立ち位置であり、継続的にアドバンテージを得るため、場にあればすぐ除去する必要がある。しかも、除去呪文をうった時点で1ディスアドバンテージという厭らしさだ。

《乱動の座、オムナス》と並ぶと、在りし日の《不屈の追跡者》のようなものだ。

オムナス界最強!


《乱動の座、オムナス》もまた、CIP能力を持つシステムクリーチャーである。土地を置くと、エレメンタルに+1/+1カウンターを乗せるという、疑似ロード能力を持つ。

そして、8枚以上土地があれば、1ドローできる。

《発現する浅瀬》と並ぶと、エレメンタルをプレイするとトップが捲れ、手札に加えるか、土地であれば場に。

そして、土地であれば《乱動の座、オムナス》の+1/+1効果が発動し、8枚以上であればさらにドローが加わる。

《乱動の座、オムナス》は初見では評価しなかったが、今ではただつよカードの認識である。場に出たときに好きな対象にダメージを与えられるため無駄がない――というか、唯一無二だ。

この環境、4マナ圏でPWを処理出来て場に残るカードなど、ほとんどないのである。

他のマナ域に目をやっても、《龍神、ニコル・ボーラス》ぐらいのもの。それだけ、処理が面倒なのがPWだ。

最低でも1点ダメージなため、《ラノワールのエルフ》や青単/赤単/白単のクリーチャーを何かしら落とせるだろう。

5マナ域に目を転じれば、今回、《茨の騎兵》を採用している。タイタンシリーズのマイナー調整感のある、神話レアエレメンタル騎士シリーズでも有数の実力者だ。

《原始のタイタン》の調整版

このカードが他の神話騎士と違う点は、場に出た時点で土地1枚分アドバンテージを得をする点だ。

土地を1枚場に出し、4枚墓地に置き、本体が死ねば墓地から1枚回収できるという、タダツヨカードである。

赤は手札を捨てる必要があるため、差し引き0。

黒は生贄を必要とするため、差し引き0。

白は相手に3/3トークンが出るため、差し引き0。

青は、《覆いを割く者、ナーセット》がいると差し引き-2。

緑だけがマナカーブに沿って場に出せばいいだけの簡単なカードだ。

盤面を選ばない点も優秀である。手札にありマナが揃っていれば迷わず打つべきだ。

強いカードが墓地に落ちてしまっても、《茨の騎兵》が死ぬ際に拾ってくれるし、拾えなくても5/5/6到達が生き残っているのだから概ね勝ちだ。

何故かエレメンタルであるため、《発現する浅瀬》のトリガーにもなる。順番に出れば脳内麻薬が多量に出るはずだ。

もちろん、現環境における青緑最強の動き、《世界を揺るがす者、ニッサ》《ハイドロイド混成体》は搭載済み。この動きは、過去類をみない広さのカードプールを持つ新スタンでも優秀なはずだ。

ニッサはエレメンタルを量産するため、オムナスと微妙にシナジーがあるし、大量のマナは――まあまあ必要だ。

そして、大量に土地を並べる――《成長のらせん》《発現する浅瀬》《茨の騎兵》――ことにより、真の力を発揮するのが《風景の変容》である。

スタンでまた使えるとは!?

M19発売当初より、相方不在のためモダン需要の再録とされてきた《風景の変容》だが、ついにスタン環境における相方が登場した。

奇しくも、M2019スタン落ちの3か月前。限られた期間だが、ついに真価を発揮する時がきたのだ。

ヴァラクートに変わる相棒、それが《死者の原野》である。

令和のヴァラクート

名前の異なる土地を7枚以上コントロールしていると、2/2ゾンビトークンが出るこのカード。

《風景の変容》で土地を8枚生贄にして《死者の原野》×2枚+その他土地6枚でゾンビトークンが16体でる。

32点クロックなので、大体勝ちだ。

ついでに、《乱動の座、オムナス》がいれば8枚ドロー+1/+1カウンター8個なのでそれだけでも勝てそうである。

《死者の原野》があれば、コントロール相手に耐性がつくのも、見逃せない点だ。土地を引き続けても、2/2トークンが2体ずつ出れば十分だろう。

マナランプ系は、大技がある方が勝つ。

前環境の《集団強制》しかり、《運命のきずな》しかりである。

《風景の変容》は、土地が8枚並んでいればゲームに勝つうえに、《乱動の座、オムナス》ともシナジーのあるカードになっている。

長期戦での土地は、不必要なカードになるのが世の常。MTGの根幹にして、ゲーム難易度を上げているのが土地という存在だ。

今回、対抗色占術ランドが再録されたことで、土地による不快感を若干改善されるはずだし、このデッキでも4枚採用している。

序盤引きすぎるともたつくが、きっと《ラノワールのエルフ》が解決してくれるだろう。

そうはいっても、長期戦でのトップ土地は基本不要、《不屈の追跡者》は手掛かりトークンを供給して苛立ちを帳消しにしてくれる凄いカードだった。

1枚でアドバンテージを獲得し、勝ち手段になり、プレイに必要なマナも重くなく、サイズも3/3/2と悪くない、ミッドレンジを体現した化け物カードだった。


今回のデッキは、60枚全部を使って、そんな《不屈な追跡者》に近づこうというデッキである。《風景の変容》による突然死も兼ね添えたミッドレンジデッキという位置づけだが、コンボなのかミッドレンジなのか曖昧な形になってしまっているのが玉に瑕だ。

《風景の変容》に特化してもいいし、エレメンタルにさらに特化してもいいだろう。

ティムールエレメンタルであれば、要素は薄くても《風景の変容》コンボは仕込みたいところ。デッキの構成上、土地は自然と並んでしまうため、通れば勝ちなカードはあると滾るだろう。




追い詰められてからの逆転も、MTGにおける醍醐味なのだ。

追記:7/13

FNMにティムールエレメンタルを持ち込んで3-0。

Foilプロモパックから日語カーンが出て即売却でほくほく。

《乱動の座、オムナス》+《風景の変容》が3回決まり、幸福度高かったです。

+1/+1×8+1ドロー×8+2/2ゾンビトークン×16=勝ち。

《時を解す者、テフェリー》が欲しい。

《世界を揺るがす者、ニッサ》は、サブプランとして優秀だが……?

4色?

《茨の騎兵》は普通に強い。

《乱動の座、オムナス》はとても強く。

《発現する浅瀬》はすごく強かったです。

7/14:追記


BOX争奪戦でスイスドロー4回戦を3-0-1(ID)の2位抜け。

SE2回戦も勝って優勝。

2日間で8-0-1(ID)。

盤面わちゃわちゃして、《風景の変容》うって勝つことが多い。

これは来たか!?

7/15:追記

平日トーナメントで最終戦敗北の2-1。

3日間で10-1-1。

《風景の変容》と《乱動の座、オムナス》の必要性が若干不明だったけど、気持ちよかったのでおススメ。

何もないところから逆転できるのは、この2枚だけ!

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