2018年5月4日金曜日

《ウルザの後継、カーン》の高騰と、MTGにおけるシングルカードの値段

この《ウルザの後継、カーン》、高すぎ?



あるカードの高騰が物議をかもしました。

《ウルザの後継、カーン》です。

最新エキスパンジョンである『ドミナリア』の神話レアカード。

4マナの無色のPWにして、生み出すトークンで自衛可能かつ+能力でアドバンテージを獲得可能、初期忠誠度は5、+能力で6。



おおよそこのような感じでしょうか。

発売日当日は4000円台で推移していたように思えますが、気づけば5000円を突破。

あれよあれよと上記価格になりました。

スタンダードに加え、モダン、レガシー、さらにはヴィンテージでも使われる可能性のある強カードです。

これに対して「高すぎ、値段下げろ、パックを剥かせたいカードショップの陰謀」という声が一部界隈で挙がりました。

確かに、高いと思います。手取り20万の私では頻繁に買える値段ではなさそうです。

ほらね。

「高すぎて買えない人がいる、3000円ぐらいにするべき」

でも、そんな私でも、皆に行き渡らないから値段を下げろという声に対して、高いなら買わなきゃいいじゃんと思うのでした。


色々な意見があります。

カードの値段でデッキ選択の自由がない・・・それは不健全なのでしょうか。

自由、あるじゃないですか。

高いなら、手に入れられるように努力する自由が。

無駄な出費を減らしましょう。食費削ればいいじゃない。飲み会、1回減らそうか。



MTGは、トレーディングカードゲームです。

トレードしませんか?

使わなくなったカードを店に買い取りに出すのもいいでしょう。

そう、自由はあるのです。

MTGにおいて、高いカードはいくらでもあります。

ヴィンテージがしたい?

よかろう、ブラックロータスだ。

レガシーに興味がある?

さぁ、デュアルランドを集めよう。

モダン?

対抗色フェッチランドはいいお値段です。今なら神ジェイスが18500円!

スタンダードがやりたい?

うん、そうだね。

どのフォーマットでも、お金がかかります。

MTGは、基本的に20~30代のプレイヤーが多いゲームです。

構築戦において、予算の大小は差が出ます。

つまり・・・お金はかけた方がいいです。

だって、勝ちたいでしょ?

MTGにおいて、デッキの強さは必須です。6パック剥いて、基本地形を足して、そのままFNMに出てみればよくわかると思います。

デッキの地力が違いすぎて、まず勝てないでしょう。

殿堂プレイヤーである渡辺プロであっても、シールドデッキでスタンの構築デッキに勝つのはまず困難です。

それが、MTGというカードゲームの特性なのです。

《タルモゴイフ》、《梅澤の十手》、《悪斬の天使》、《ヴリンの神童、ジェイス》etcetc。

スタンダードにおいて、高いカードは今までいくらでもありました。

では、どうしてカードは高くなるのでしょうか。

簡単です。

他国はどうあれ、日本は自由経済の国です。

そう、「需要」「供給」ですね。

何らかの理由で買い手の「需要」が高まると、売り手の「供給」が追いつかなくなります。いわゆる品薄状態です。

そうなると、売り手はどうするのか。

大量に「供給」すればいいでしょう。倉庫にある在庫を引っ張り出すのはよい方法です。新ゼンディガーにおけるトレジャー? 屋根裏でリバイズドが見つかった?

では、そもそも在庫がなければ?

清く売り切れにしましょうか。

では、ほんの僅かですが、在庫が手に入ったら?

依然と同じ値段で売るでしょうか?

そんなことはないでしょう。

だって、高くしても売れるんですから。それに、人気のある商品を手に入れるには、通常よりも労力が必要となります。

はい、値段の上昇が始まりますね。

いわゆる株券と同じです。「需要」と「供給」は一定せず、互いに時には高騰、時には下落し、値段が一致するまで漂い、一致したと思えば気侭に動きます。

さて、ここでカードショップにおけるシングルカードは、どうやって在庫を得ているのでしょうか。

大量にパックを剥いて確保しているのでしょうか?

恐らく、発売日当日はそうでしょう。

ですが、そのあとは?

カードの出る確率は、おおよそ平等です。糞レアだろうと、優良レアだろうと、平等なのです。そうすると、在庫の不均等が出てきます。

人気のあるカードがどんどん捌けていき、人気薄のカードは在庫として店内で滞ります。

パックを剥くだけでは、必要数を確保することは困難なのです。在庫を得るために買取りを行っていくしかありません。

カードショップのほとんどは、古物商です。

買取り値は、捌け続ける限り、どんどん高くなるでしょう。高くしなければ、買取りに出してくれる人がいません。

では、捌けなくなってきたら?

一通りプレイヤーに行き渡ったり、もっと強い戦略やカードが見つかったら?

カードの売値は、下落を始めます。買取り値も下がっていくでしょう。

それが、自由経済です。統制経済であれば、価格は一定です。競争も何もありません。

買取り値と売り値にも、もちろん差額は発生します。それは在庫管理だったり、輸入に対する費用だったり、トレーダーに対する報酬だったり。

そう、カードの目利きだって、ただではないのです。

で、です。

高すぎっていう人――高いから安くしろ。そのうち、強制的に安く買い取りに出せばどうだろうなんて意見がありました。なるほど、安く仕入れて、高く売れば、店は儲かります。

はあ。

もう、意味わかりませんね。そんなことをしてでもしないと成り立たないのであれば、商売として間違いなく破綻しています。

そこで働く人たちを、苦しめるだけです。

正直、あーだこーだと言っている人は、「やらなきゃいいのに」で終わってしまいます。

努力をして、努力をして、それでもやっぱり・・・そのカード使わなければいいじゃない。別のデッキを使えばいいでしょう。

仲間内でだったら、プロキシーの使用ぐらい許されるんじゃないですか?

何、大会でカーンが使いたい?

安いうちに買っておけばいいでしょう。それに、使いたい時が買い時です。FNMに出るだけだから?

いや、大会に出たいなら、買って下さい。それは、何でも一緒でしょう。

トレイルランという競技があります。山を走る競技です。安全第一であり、ほとんどの大会では携帯する基本装備があります。レインウェアや水分、救急用品etc。

それを、けちれば・・・または、重いからと携帯しなければ。

はい、大会失格です。

ウィザーズ社は、MTGの販売店です。ですが、販売しているのはあくまでパックです。

パックから出たカードに関しては、二次マーケット(いわゆるカードショップですね)に委ねられます。

そして、これだけの二次マーケットを有する商品は、少ないでしょう。

よくある笑い話に、デュアルランドは香港の地価より高いから不動産投資というのがありました。

でも、これ本当の話なんですよね。

投資する品々なんて、株以外に幾らでもあります。

金貨や切手、ヴィンテージワイン、etc。

MTGも、立派な投資商品でしょう。ただし、値段の上下が非常に激しいため、投機になってしまいますが。

再録禁止カード、最近倍近くになりましたからね。

ショップは、営利目的です。施しを与えるために存在しているわけではありません。利益が必要なのです。

高い→不買運動なんて、無茶苦茶でしょう。

高いのが課題って、何が課題なのでしょうか?

新規参入お断り?

ちょっと違うでしょう。

ミニ四駆って、やったことありますか。子供の時、お小遣い不足で買えなかったパーツ、ありませんか? お店に安く売ってと言いましたか? あんまり言いすぎると、それってたかりになりますよね。

あからさまに強いチャレンジャーデッキの投入。各ショップだって、新規参入者を増やす試みをしています。



私は、登山を嗜みます。

登山道具は、基本、高いです。考えてみれば、ユニクロのウェアさえあれば登ことができるんです。今のユニクロの機能性は、一昔前の登山用品を凌駕しています。

ですが、徐々に有名ブランドへと進んでいきました。高いのには、理由があるのです。

でも、高いからといって、不買運動なんて聞いたことがありません。

高級品の車は?

ないですね。

何だか、漫画村と同じ根っこを感じます。

高いが悪の思想なのです。じゃあ、ピカソの絵は? かっては輸出される陶磁器の破損防止に用いられた浮世絵は? サービスにお金を払わないのも、そうでしょう。

MTGは、ゲームです。制作には、多大な労力が込められています。

販売も、同じです。人件費、光熱費、場所代etcetc様々なコストをクリアして、ショップはそこにあるのです。

安くありたいというのは、わかります。

実際、GPの高騰に関しては、当方でもよく文句を言っていますから。

でも、赤字だと意味がないんですよね。

赤字だと、続けていけないですから。だから、何とか黒字にしようとします。以前は、ウィザーズが広告費でまかなっていました。今は、なくなりました。

場所が大きくなれば、値上がりするでしょう。参加人数に伴う人件費の拡大だってあります。

ええ、値上げするするには十分ですね。

イベントの運営費の高騰の理由、発表ないですけど。まあ、いいです。よくないけど、いいです。

翻って、カードの高騰に関しては、理由、わかりますよね?

日本人は、ケチです。社会全体がそうです。教育現場において、経済の仕組みをほとんど教えていないのですから。

損に関しては、恐ろしく敏感です。

いわゆる、守銭奴です。



お金がなくて、趣味ができない。

じゃあ、違う趣味やって下さい。

いくらでもお金のかからない趣味あるでしょう?

日本は選択の自由が比較的保たれています。

趣味も選び放題です。

もちろん、それが実際に出来るかどうかは、違いますが。

様々な関門があります。時間だったり、距離だったり、体力だったり・・・。それを乗り越えてこその趣味でしょうに。

0 件のコメント:

コメントを投稿