賞金総額75000ドルと、次シーズンのMPLに必要とされているミシックポイントをかけて行われる大イベントである。
The #MythicChampionshipIII hype train has officially left the station 🚂— Magic Esports (@MagicEsports) 2019年6月10日
68 players - 32 MPL Players & 36 Challengers - will battle it out in the Las Vegas Arena for $750,000 in prizes.
The show starts Friday, June 21 @ 8:00 AM PDT
Get the details:https://t.co/zOWX12bB4L pic.twitter.com/BWN4j7OzBT
参加者はMPLプレイヤー32名とあのアリーナミシックチャンピオンシップ予選通過者16名と招待選手20名という、極めて限られた人数しかいないイベントである。
世界選手権に繋ぐ役割もあり、テーブルトップMTGよりも高額な賞金がかけられている。
――招待選手20名。
Congratulations to the 16 players invited to #MythicChampionshipIII ! @coL_Amazonian @Em_TeeGee @teresapho @Muffinpastrypie @nessameowmeow @LiquidSjow @Amaz @WyattDMTG @Bloody @raphlevymtg @mtgNhi @lsv @kaibudde @OndrejStrasky @_NoWa_MTG @AnnaMaeStreams— Magic Esports (@MagicEsports) 2019年6月10日
PTチャンピオンはええけど、誰これっていう人混じってない?
またよくわかんない招待来たか。— Kenta Harane (@jsp_magic) 2019年6月11日
来期のMPLに入れたい集客性の高いプレイヤーは全てのMCにスペシャルインビで呼べば自然とミシックポイントなるものが入るので何か実力でMPL取れた雰囲気が出るし最悪MPLメンバーが途中離脱した場合にねじ込む事も可能なんやで😉— Yuuki Ichikawa (@serra2020) 2019年6月11日
ミシックチャンピオンシップⅢ予選の通過者は16名。
全く単純ではなく、長期間かつ複雑な予選方式になっていた。これを単純だといえるウィザーズは相当頭がいいのだろう。
史上初開催! MTGアリーナでのミシックチャンピオンシップの観戦情報と予選情報|読み物|マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト
世界中で2千万人を超えるプレイヤーとファンを持つ世界最高の戦略トレーディングカードゲーム、マジック:ザ・ギャザリングの日本公式ウェブサイト。
・3/4月最終日のミシックランキングで構築/リミテッドで1000位に入る。
・5/25に行われた予選で8-1以上で通過。
・上位128名の中からスイスドロー6回戦にて上位16名が選出。
とんでもない上ブレ引けてアリーナMCQ5-0 pic.twitter.com/oKjQNh1czM— Kentaro Yamamoto (@syrup19) 2019年5月26日
日本勢では、山本プロが入賞。これについては文句がない。
あるわけがない。
どの辺が単純な選出方式だったのか再度確認したいところだが、十分に説得力のある選出方式だった。
右肩下がりの視聴者数を記録したMPLリーグ上位者は2日目進出が決まっている。
ほぼ化け物(あくまでほぼである)揃いのメンツで上位4人に入ったのだから、それぐらいの恩恵はあるべきだ。
腑に落ちないのが招待選手枠である。
MTGの単純な実力ではなく、人気配信者枠がちらほらと見受けられ――人気あるの?
っていう人もいるけど。
@MagicEsports We are competing for World Championship on the basis of Mythic Point. 16 special invitees will get FREE Mythic Point, this is so unfair. (1/2) https://t.co/oOSPmjdFxQ— Yoshihiko Ikawa (@WanderingOnes) 2019年6月11日
@MagicEsports please consider not giving Mythic Point to special invitee. All challengers should have the same conditions. (2/2)— Yoshihiko Ikawa (@WanderingOnes) 2019年6月11日
井川プロ、激オコ。
そりゃあフェアじゃないよね。
今まではフェアっぽい選考基準だったのに、今年になってからトーナメントシーンはウィザーズのやりたい放題で、そこにプレイヤーが関与する余地はなく、そのやり方に公正さはない。
プロポイントを廃止してミシックポイントを新しく掲げているけど、それを獲得するにはウィザーズの何らかの恣意的選考基準に基づかないといけないって、もう一般プレイヤーは無理だよね。
感情が――追いつくのだろうか。
ミシックアリーナ予選に参戦して、3か月間頑張って、128名までは入ったけど、4-2で権利を獲得できなかった――悔やんでいると、コミュニティから幅広く集めましたと、いきなり誰やねんな選手が16名選ばれたら?
怒るか、気力が萎えるかのどちらかだろう。それでもまだやるというのは、MTGというゲームの魅力を信じているから、競技シーンに留まれる。
競技と興行の両立は可能なはずだけど、ウィザーズは興行に重点を置きすぎてプロ制度ががらがらと崩壊――そんなものはなかったかもしれないけど、それっぽくこの20年以上存在した競技シーンは信頼から粉々になってるよねっていう。
MPLメンバーは好きだし尊敬するプレイヤーばかりだという事を最初に述べた上で、MPLという制度自体は自らに全く恩恵がなくマジックのモチベーション低下に大きく影響している部分なので、新たな制度を望んでいます。— Kenta Harane (@jsp_magic) 2019年6月11日
興行――テニス方式ではなく、サッカーやプロ野球みたいな形にしていきたいのだろうか。
テニスは実力があれば、自然と上位トーナメントに進出していくシステム。
下位トーナメントでポイントを稼ぎ、徐々に成り上がっていく、辛く厳しい実力主義の世界。そこにスポンサーや人気は――介入する余地があるんだけど、そこまで酷くはない。
野球なんかは、人気が必要。もちろん実力もいるけど。ああ、でも、チームごとに育成シーンが整っているか。Jリーグは、その点地域に根差していてすごいもんである。
じゃあ、ウィザーズはどうしたいんだろうというと、よくわからない。ツイッチの人気だけ見てる――というわけでもないし、方針が読めない。
それはもはや天災の類だけど、実際は人災なのだ。
インビテーショナルはまだ納得できたけど、プロツアーでそれってどうなの?
世界最高峰のプレイヤーかといわれるとそうではない、いわば客寄せパンダを詰め込んだよね。
ついでに、何の考えなしに女性優位で物事を進めているからたちがわるい。
男性が多いから女性を優遇しましたは、こと競技シーンにはあまりそぐわない。だって、女性の強豪プレイヤーはいるじゃないか。それをいうなら、男性差別だ。
それがまかり通るなら、いわゆる高齢者からも選んでいいだろうし、子供だって選ぶべきだ。様々な人種から幅広く選ぶべきだ。
その選択は、差別でしかない。時代の流れに逆らう女性蔑視――そして、今までのトーナメントプレイヤーへの差別だ。
クラウドファンディングで渡航費を手に入れようとしている予選を勝ち抜いた選手がいるのを尻目に、こうして招待するってなると、馬鹿らしいよね。
以前に将棋の糸谷元竜王がPTベルギーに参加したことがあったけど、それは『タルキール龍紀伝』の龍繋がりってことだし、日本選手権上位の実力だったから納得できる。
理由がないと納得できないし、ウィザーズは理由を述べないからどうにも議論が進まない。
唐突に発表しましたで終わろうとするから、どういう意図なのか外部からは窺い知れない。
トッププロというよりかは、身内の意味合いが強いMPLプレイヤーですらそうなのだから、これは度し難い秘密主義か、どの部署も匙を投げているかの2つに1つだろう。
トーナメントの華やかな部分はよく表に出るが、カード制作の裏話のような運営に関する発話はほとんどない。
だからトンプソンに三行半を突き付けられるのだ。
海外はどうか分からないけど、少なくとも国内はMPL盛り上がれるようウィザーズさんと協力していきたいと考えてます!— 行弘 賢/YUKUHIRO KEN (@death_snow) 2019年6月11日
そうじゃない。
それは関係ない。MPLが盛り上がろうが盛り下がろうが、本質は関係ない。議論がずれている。
実力じゃなく、ウィザーズに気に入られるか気に入られないかという、曖昧な基準で進んでいるのが問題だし、プロ制度がどうなるかのアナウンスもない、ないない尽くしの殿様商売が糞。
ゲーム制度は最強だけど、会社はヤバイってずっと言われてるよね。
MPLがどう盛り上がろうと、それは今のMTGにおけるトーナメントプロに関係あるのだろうか?
もし関係あると思うのなら、来年以降の立場があやふやなまま、シーズンに挑んでいるレベルプロに聞くべきだろうし、スポンサードされてるから、何も言えないよねとは思う。
世界各地を巡り貯めていたプロポイントは意味を失い、生業の行く末が見えないまま環境は進むって、その業界で糧を得ている人間にとっては地獄だと思うけど……。
いまのプロ制度、完璧に理解してる人ウィザーズの中も含めて0人説あるからね— Yuuki Ichikawa (@serra2020) 2019年6月12日
それでも、MTGの競技シーンがあるような雰囲気があるのが凄い。
失敗する組織って、大体こんな感じにダメになるよね。
個々は頑張っているのかもしれないけど、全体を見渡していわば戦略をとることが出来なくなり整合性がなくって、はい、終わり。
ゲーム性が担保する無限の可能性も、運営がアホなら潰れるよというお話。
ここからさらに長いですが、あるツイートと、その翻訳と野球のお話。
I see what Magic is doing as the perfect lens through which to view the struggle that the esports industry is facing today.— Ben Swartz (@bensw) 2019年6月12日
Is esports a competition where the best player wins or is it isports—influencer sports—simply a marketing ploy for pubdevs to move product?
1/
元の英文が長め。翻訳は、レベル2ジャッジのすずけん氏。
この一連のツイートは興味深かったので翻訳してみます。このツイートからぶら下がる形でいくつか続きます。もしかしたらちょっと間違いあるかもしれませんがご容赦ください。 https://t.co/jlTz2jMnl4— すずけん (@suzuken) 2019年6月13日
マジックが今やっていることは、今まさにeスポーツ業界が直面している困難と同じ観点から見ることができると思う。— すずけん (@suzuken) 2019年6月13日
eスポーツは最高のプレイヤーが勝つ競技の世界なのか、それとも製品を宣伝するためのマーケティング手段にすぎない「インフルエンサーによるスポーツ」なのか?
これらの違いを考えるに当たって私が常に考慮に入れている3つのゲーム、それがLoLとハースストーンと、そしてフォートナイトだ。— すずけん (@suzuken) 2019年6月13日
LoLでは(そのほかにもオーバーウォッチでは)、開発側が運営するeスポーツがある。最初はどちらも自由奔放主義的なやり方で(つまりなすがままで)スターを生み出してきたが、今はお金を使ってそれをやっている(LCSでのスカウティング・グラウンドやオーバーウォッチリーグなど)。— すずけん (@suzuken) 2019年6月13日
今に至るまで、会社にとっては、それらのリーグなりプログラムなりが会社にどのくらいの価値をもたらしたのかを示すのは難しいだろう。ただ人々はそこに価値が含まれていると考えているし、このようなシステムがうまく行くという確信を持っている。そして多くの部分では実際にそうなっている。— すずけん (@suzuken) 2019年6月13日
一方でHSは競技寄りだと言える。HSがトーナメントでいわゆるインフルエンサーを起用したのはゲームがでた直後のみだ。HSはそういう考えを持ち、そして成功しているとも言えるが、— すずけん (@suzuken) 2019年6月13日
しかし一部の例外を除いて、ストリーマーの世界以外からは新たなスターは生まれておらず、競技的なリーグは大ヒットという事にもなっていない。— すずけん (@suzuken) 2019年6月13日
わずか数年前、もうすぐハースストーンはマジックを駆逐すると考えていたなんておかしいとしか言いようがないし、有名なハースストーンのストリーマー(AmazやLiquidSjow)がアリーナをやるようになるなんてもっと考えようもなかった。— すずけん (@suzuken) 2019年6月13日
そして話はフォートナイトに移る。eスポーツに多大な予算を使ってトーナメントを開いたにもかかわらず、そのイベントの視聴者数は個人のストリーマーのそれを下回ってしまう。TTfueのストリーミングの方ががEpicのストリーミングよりも視聴者を獲得するというのはなんとも言えない。— すずけん (@suzuken) 2019年6月13日
フォートナイトが示しているのは、もしかしたら、大金をかけたトーナメントが意味をなさない世界が存在すると言うことなのかもしれない。インフルエンサーたちはそういったトーナメントには行かない。なぜならそれよりも自宅でストリーミングをしていた方がお金が稼げるからだ。— すずけん (@suzuken) 2019年6月13日
さて以上の話は、マジックと、そして最近のMPLのアナウンスとどう繋がるだろうか。— すずけん (@suzuken) 2019年6月13日
おそらくウィザーズは次のように考えているのだろう。— すずけん (@suzuken) 2019年6月13日
1)アリーナはヒットした。
2)インフルエンサーたちは多くの視聴者を引き寄せてくれた。
3)もしかしたら最終的なゴールを達成するためには、広大なトーナメントシリーズは必要ないのかもしれない。
しかし彼らには認識に誤りがあると感じる。私自身、新しいプレイヤーがプロになるための「プロクラブ」の仕組みが必要だとは考えていないが、しかしそれでも何もないというのはおかしいだろう。— すずけん (@suzuken) 2019年6月13日
それは別にものすごいものでなくてもいい。例えば常にミシックランクになるようなプレイヤーが参加できるオンライントーナメントシリーズだとか。— すずけん (@suzuken) 2019年6月13日
私は、彼らがハースストーンと同じ道に突き進もうとしているのではないかと危惧している。— すずけん (@suzuken) 2019年6月13日
有名インフルエンサーによるキャッチーなイベントを開催すれば、一時的にプレイヤーベースは増えるだろう。
しかし早晩、人々は「で、結局これって意味あるのか?」と思い始める。— すずけん (@suzuken) 2019年6月13日
もし彼らのゴールが利益をもたらすゲームを作ることであれば、それは達成できるのかもしれない。しかし私はマジックがこのモデルで天下を取れるとは思わない。10万人を超える視聴者が常にいるようなトーナメントはできないだろう。もしあったとしても極めて一時的なものだろう。— すずけん (@suzuken) 2019年6月13日
その場合、マジックは死にはしないが、しかしそのポテンシャルを活かしきれないままになる。— すずけん (@suzuken) 2019年6月13日
私が言いたいのは、プロシーンにより存在感を持たせるという今彼らがやろうとしていることは、今までずっとやってきていなかったことで、とても重要だ。今の彼らのやり方について私は別に激怒したりすることもない。— すずけん (@suzuken) 2019年6月13日
しかしもしまだ有名でない子どもたちに、君もプロイベントの決勝戦で戦うことができるのだということを示したいなら、そして、もしそこに至る道をきちんと作らないのであれば、それはその子どもたちのみならず、マジックを真剣に取り組んでいるすべてのプレイヤーに対するごまかしに他ならない(終)— すずけん (@suzuken) 2019年6月13日
翻訳。そして、腑に落ちたお話。
私はさ、ミシックチャンピオンシップみたいな大会に出られるような実力は無いし、そこまで出たいとも考えてないけど、それでも仮に「この先どんなに頑張ってどんなに機会に恵まれてもMCに出場することは不可能だ」ってなったらモチベーションを一気に失うと思う。— 一色真名をすこれ!よ! (@mono0mana) 2019年6月13日
「どんなプレイヤーにもチャンスが無くはない名誉ある大会がある」「憧れに値するトッププレイヤーが存在し、かつそれは自分と地続きの世界である」っていう思いこそ一番その競技のプレイヤーを興奮させるし、eスポーツにはそういうイメージが必要不可能だよ。— 一色真名をすこれ!よ! (@mono0mana) 2019年6月13日
野球少年が誰しも甲子園やプロ野球選手やメジャーリーガーを目指してるわけじゃないけど、それらが同じ「野球」って競技で地続きになってることは、そういう子にとってもモチベーションになってると思うし、プレイするときにそんな「遠い世界」でも意識する対象になり得るはず。— 一色真名をすこれ!よ! (@mono0mana) 2019年6月13日
前に、「女子だけど選手として甲子園に行ってみたい」って野球部員がいて、「じゃあ女子選手のための甲子園を作れば良い」って意見が出たときには、「残酷なこと考えるなあ」って思ったよ。— 一色真名をすこれ!よ! (@mono0mana) 2019年6月13日
だって、野球部員にとっての甲子園ってのはただの場所じゃなくもっと象徴的なものだし、その子は決して単に「甲子園球場で野球をやりたい」ってだけの意味で「甲子園に行きたい」なんて言ったわけじゃないと感じたから。— 一色真名をすこれ!よ! (@mono0mana) 2019年6月13日
仮にそこでどれだけ頑張っても、たとえ中学高校の部活で野球をやるだけで充分に楽しかったとしても、その先には甲子園にもプロ野球にもメジャーにも通じてない、っていう残酷さを、そんなアイデアを出した人たちはまるで理解できてないんだろうな、って。— 一色真名をすこれ!よ! (@mono0mana) 2019年6月13日
趣味。だから楽しいならそれでいい。それも事実。それも真実。名誉のためでも利益のためでもない。そりゃそうだ。— 一色真名をすこれ!よ! (@mono0mana) 2019年6月13日
それでも。
それでも、さ。
もしも自身の才能が目覚めたそのときに、それが何かしら世界に影響を及ぼして欲しい、そんな憧れは、誰にだってあるんじゃないの?
これまで「ただの趣味」でしかなかった、その先に「世界に影響を与える何か」なんてほとんど存在しなかったただの趣味に、そういう「意味」を与え得る、それがeスポーツの意義の大きな一つだと、私は思ってる。— 一色真名をすこれ!よ! (@mono0mana) 2019年6月13日
自分はまだ、MTGの競技シーンという存在――eスポーツで生業をたてる……将棋や囲碁や、野球やサッカーのように――という夢が忘れられないんだな。
それは、あのアヴァロンを、名古屋の古い劇場で観てからずっと続いている、呪縛のような執妄かもしれないけど、未だにそれはあるんだな。
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