このカードにも逸話が…。 |
最近始めたMTGプレイヤーは、その名前を聞いても首を傾げるに違いありません。
はて、一体その人はなんぞや?
しかし――古えの時代、そう、ドミナリア華やかりし時代、それはMTGプレイヤー憧れの名前でした。
ある記事が、あがりました。
その記事は、こうしてネットの片隅で思い出語りをしたくなる内容だったのです。
PT異界月より、大手MTGショップ晴れる屋は現地レポートを作成しています。
毎回毎回、気合の入った記事です。マツガンさんが晴れる屋を離れたため、現在はその記事のほとんどを一人のライターが記述しています。そのボリュームたるや!
PTの雰囲気を味わいたいなら、まずは公式カバレージ、サイゲームスレポート、そして晴れる屋現地レポートを読むのが外れがないと思います。
それから、海外翻訳や参戦レポートを読んでいくと、より楽しめるはずです。
もちろん、PTドミナリアでも、晴れる屋は現地取材を行っています。
プロツアー『ドミナリア』現地レポートby晴れる屋
その最後の記事が、
Special:カイ・ブッティ~世界最強の男~(エピローグ)
だったのです。
そう、世界最強の男。
誰しもが、憧れる栄冠です。
MTG史上最強のプレイヤーとは、いったい誰のことでしょうか。
ジョン・フィンケル。
LSV。
渡辺雄也。
八十岡翔太。
あるいは、創造主であるリチャード・ガーフィールドでしょうか。
個人毎に、世界最強のプレイヤーが存在するに違いありません。
そして――ジャーマン・ジャガーノートこと、カイ・ブッティもその中に名前を連ねるでしょう。
MTG公式サイトより引用 |
「ジャーマン・ジャガーノート」。個人戦プロツアー優勝5回、チーム戦プロツアー優勝2回の合計7勝は、他を4勝も突き放しての圧倒的な記録。プレイヤー・オブ・ザ・イヤーも4度獲得。生涯獲得プロ・ポイント、生涯獲得賞金ともに歴代1位。ディルク・バベロウスキー/Dirk Baberowskiとマルコ・ブルーメ/Marco Blumeとともに結成した「Phoenix Foundation」は伝説を築いた。インビテーショナル2001で優勝し、《非凡な虚空魔道士》を作成する。~殿堂プレイヤーより引用~
時は世紀末、1999年に遡ります。
ヨーロッパGP3連覇という偉大な成績を引っさげたドイツの青年は、赤茶単というウルザブロックの生んだ健全な悪魔(健全じゃないのは、そう、MOMAだ……他にもいっぱいあるね笑)を引っさげ、世界選手権という大舞台において、ポンザという哀れな子羊を粉砕してみせました。
赤茶単
クリーチャー:8枚
4欲深きドラゴン
3マスティコア
1銀のゴーレム、カーン
呪文:32枚
4燎原の火
4呪われた巻物
4通電式キー
4緋色のダイアモンド
4束の間の開口
4厳かなモノリス
2摩滅したパワーストン
4スランの発電機
2ミシュラのらせん
土地:20枚
13山
3古えの墳墓
4裏切り者の都
サイドボード
2破壊的脈動
2荒残
2沸騰
3地震
4呪文ショック
1ファイレクシアの処理装置
1ミシュラのらせん
ポンザ
クリーチャー:15枚
4ジャッカルの仔
4モグの狂信者
3投火師
4なだれ乗り
呪文:21枚
4呪われた巻物
4ショック
4石の雨
4略奪
3ボガーダンの鎚
2弧状の稲妻
土地
16山
4不毛の大地
2古えの墳墓
2ギトゥの宿営地
サイドボード
1弧状の稲妻
1投火師
1流動石の洪水
2マスティコア
4湯焼
2破壊的脈動
4スランの鋳造所
その時間、わずか12分。
デッキリストを見れば、恐らくわかると思いますが、圧倒的な相性差でした。
当然です。
3ターン目から《石の雨》を唱えたところで、その前に《欲深きドラゴン》を唱えられては意味がないでしょう。赤茶単側は、3ターン目には大体5~6マナが出る盤面になっています。
マナアーティファクトVS土地破壊では、戦略差がひどすぎました。
当時、ESPNというアメリカのチャンネルで、世界選手権が放送されていました。筆者もスカパー無料放送の日にビデオへ録画し、無我夢中でみたものです。
2001~2003年のプレイヤーオブザイヤー3連続受賞。
世界選手権優勝。
プロツアー7勝(チーム戦2勝)。
グランプリ7勝。
インビテーショナル優勝。
輝かしい戦歴を引っさげ、2007年に殿堂入りを果たしています。
そんなカイ・ブッティですが、現在は、MTGの一線を退いた状態となっています。
多数の強豪プレイヤーが、世界中に存在し、鎬を削っています。あるプレイヤーは長年世界を股にかけ、あるプレイヤーはひっそりと引退していく。
MTGの競技シーンで、長く活躍することは難しいのです。
同時代より一線を走り続けているジョン・フィンケル選手と比べると、馴染みのない選手になっているに違いありません。
しかし――世紀末を迎えた1999年。
現在のように情報化社会による恩恵はまだなく、ゲームぎゃざを貪るように読んだ田舎の少年にとっては。
その名前は、格別な存在なのです。
晴れる屋より引用 |
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