2020年9月21日月曜日

2020年ミシックインビテーショナルについてのあれこれ

 ミシックインビテーショナル優勝は、スゥルタイミッドレンジを駆るSeth Manfield選手となった。


ゴブリン、カンパニー、ラクドスサクリファイスと様々なデッキが存在した環境を、4枚投入した《霊気の疾風》入りスゥルタイミッドレンジでなぎ倒した形である。

最終日は、敗者側トーナメントから勝利を重ね、優勝に到達したのだ。


うっきうっきセスさん。 決勝トーナメント配信当日の話である。
【スゥルタイミッドレンジ】

 クリーチャー:7枚
4《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 
3《ハイドロイド混成体》 

呪文:25枚 
4《思考囲い》
4《霊気の疾風》 
4《成長のらせん》 
3《取り除き》 
1《軽蔑的な一撃》 
1《本質の散乱》 
1《大渦の脈動》 
2《衰滅》 
1《絶滅の契機》 
4《世界を揺るがす者、ニッサ》 

土地:28枚 
4《繁殖池》 
4《草むした墓》 
2《異臭の池》 
2《水没した地下墓地》 
1《内陸の湾港》 
4《ゼイゴスのトライオーム》 
1《ロークスワイン城》 
4《寓話の小道》 
2《森》 
2《島》 
2《沼》 

 サイドボード
1《長老ガーガロス》 
1《墓掘りの檻》 
2《否認》 
1《無情な行動》
2《肉儀場の叫び》 
2《魔女の復讐》 
4《サメ台風》 
2《覆いを割く者、ナーセット》
環境のトップメタはゴブリン――それは、各プロ共通だったようだ。  

ロードと速攻付与によりアグロよし、当然のコンボもよし、勿論アドバンテージ獲得もよしと隙のないゴブリンは環境王者に恥じないデッキだったが、弱点は同型戦の不毛さだろう。

 エッジを出すためにどうするか――その考えを突き詰めたのが、《哀憐の妙技》を投入し、1ターンでも早くオリカゴブリンを叩きつける行弘プロの形だったといえる。

ゴブリンに強いカードは各種存在するが、デッキの根幹を揺るがすほどの強カードとなると限られてくる。

その一角が《騒乱の悪魔》だろう。 

いわゆるサクリファイス系統の台頭だ。 自軍の展開に生贄手段を用いており、サイズが小さいゴブリンに、《騒乱の悪魔》はキラーカードとなった。  

《集合する中隊》、《ボーラスの城塞》、そして《フェイに呪われた王、コルヴォルド》をフィニッシャーにとりながら、色の選択も含め、様々な形が存在した。

原根プロもジャンドサクリファイス(パン屑型)を選択したが、同型でデッキ負けを覚悟したそうだ。

サクリファイス同型のキーカードは、何時の時代も《フェイに呪われた王、コルヴォルド》だ。

枚数をとるのはもちろん、その対処手段の有無――カンパニーでもパン屑でも噛み合う《残忍な騎士》の選択が同型戦ではキーとなったようだ。

《害悪の掌握》は、入れたいカードではないからね。

で、【スゥルタイミッドレンジ】だ。通常の【スゥルタイミッドレンジ】は、大会で勝ち抜けるかどうかはきわどいデッキだった。

ヒストリック環境は押し付けの強い世界であり、あくまで受け手にまわる通常の【スゥルタイミッドレンジ】は、対処を重ねた結果どこかで粉砕される――ゴブリン相手は大体そんなもんである。
受け手に回れば負ける――バントミッドレンジが個人の性癖以外では選択者が少なかったのもこの点だ。スゥルタイミッドレンジと比較して、リターンがないデッキだ。

《ドミナリアの英雄、テフェリー》では、ヒストリックを生き抜けない。勝つカードではないからだ。《龍神、ニコル・ボーラス》も一緒である。まぁ、マナもカードもグリクシスは不足してるけど。

セスのデッキの長所は、《世界を揺るがす者、ニッサ》と《霊気の疾風》を4枚投入し、稼いだ時間で一気呵成に殴り倒す構成にしたことだろう。

大ウーロ時代を制した《霊気の疾風》でいなして殴るという戦略が、ここでも生じたといえる。

とはいえ、《霊気の疾風》はあくまで色対策カードだ――環境を読み切り、4枚投入しても問題ない程度に勝つという確信が持てるまで、練った結果だろう。

実際、今回の環境において、《霊気の疾風》が完全な無駄カードになる相手はほとんどいなかった。

強豪プレイヤーが勢揃いした環境で、弱いデッキを選ぶプレイヤーは少ない。

《霊気の疾風》がきかない相手となると、オーラデッキがあげられるが、《思考囲い》で頓挫するのでまぁまぁ問題ない。王神デッキは、問題だ。


LOWERトーナメントに回ってからの優勝で、決勝トーナメントは合計6回戦を勝ち上がった。

そう、LOWER側である。

2019年ミシックインビテーショナルに始まり、2019MCⅢ、2019MCⅤ、2019MCⅦ、2019世界選手権、2020PTF――ブランケット方式を導入後の大会全てでUPPER側の勝者が勝ち上がっていた。

合計6大会全てである。

今までは、勝者は1マッチ先取/敗者は2マッチ先取と、UPPER側の圧倒的な有利が生じていたため、試合数の水増し以外は意味ない方式だなと感じていたが、今回は先手/後手の選択権以外は差異をつけなかったため、ついにLOWER側の勝者が大会を制した。

……個人的にはシングルエミリネーションの方がわかりやすくて好き。MTGアリーナぐらいのゲームなら、シングルエミリでも2時間程度は時間が稼げると思うけど、どうなんだろうね。

そもそも、配信時間が長い方がいいのか、どうしてこの方式なのかよくわからん。運負け?

MTGは事故るゲームです(辛み)。

さて、そんなミシックインビテーショナルだが、最後にミソがついた。配信トラブルによる、放送延期である。

この規模の大会で放送延期とか、ありえるんかいなと思うが、実際に待てども待てども放送は始まらなかったし、セスはウキウキだったので録画配信となってしまった。

その辺りは、アリーナの問題だろう。

リモートの大会で、あの原始的なやり方ではそうなる。コロナ禍が収まるか、大会モードが導入されるかで、ウィザーズは早くやるべきだったが賞金を大規模に減額したウィザーズにそれは酷な話なのかもしれない。

金欠で人員もないんちゃう?

その配信も、録画のくせに通常配信と同程度に引き延ばし――在りし日のDBZを見ている感覚を覚えたものだ。

いや、おかしいだろう。さくさく流せ、さくさく――その辺りは、配信が長いほど有利という側面があるのだろうか。

視聴者数は配信が長くなればなるほど、有利だもんね。

見てる方はたまったもんじゃないけど。

と、今更なインビテーショナル感想。

PVが生贄の挙動絡みで怒り心頭だったりもするけど、環境的には観ていて面白い――MTGらしい、運が勝負を左右する残酷な側面もあったりして――いい大会だった。

きちんと観れる大会になればいいよね。

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