2018年10月9日火曜日

【ボロス】赤白天使~これぞ環境のソリューション!? +ボロスのカード紹介~【スタン】

前回の記事で、《民兵のラッパ手》採用型ボロスを、現代に蘇ったアブザンアグロorラクドスミッドレンジといいました。



訂正します。

あのデッキは、GAPOであり、包囲サイを筆頭としたパワーカードとフェッチ12枚体制のマナベースによるストレスフルな動きで世界を驚かせたアブザンアグロではありませんでした(赤白GAPOも、ローウィンーアラーラ期に一時代を築いたデッキです)

しかし、タルキール期に猛威を振るったアブザンアグロは、まるでメンコのたたき合いと称された圧倒的なパワーは、現代MTGに蘇っていたのです。


多種多様なデッキが模索されている現環境。

イゼット、ディミーア、ゴルガリ、セレズニアはもとより、ジェイスカイやグリクシス、アゾリウスも姿を見せています。

【ラヴニカのギルド】に収録された5つのギルドであるボロスも様々なアプローチがなされています。

赤単tオレリアや、《速太刀の擁護者》+《軍勢の切先、タージク》を生かした形などです。

未だ研究途中であり、デッキ製作者の創意工夫が施されたリストが多数生み出されています。

発売当初に使用した《民兵のラッパ手》型の粘り強さは、ボロス界隈随一だと思います。

《軍勢の戦親分》、《民兵のラッパ手》、《包囲攻撃の司令官》の継続戦闘能力は驚異の一言です。

しかし、現在の環境はそれすらも凌いでいくのです。

《煤の儀式》、《黄金の死》、《轟音のクラリオン》――軽量全体除去のメイン採用が肯定される今の環境は、アグロに対する逆風が吹いているといえるでしょう。

近年のMTGの基本は、環境初期はアグロデッキが強い、でした。特に赤系アグロが確立してからはその傾向に拍車をかけていました。

前環境の赤黒ミッドレンジは、どれだけ対策しようともその包囲網を噛み砕くだけの力を有したアグロデッキでした(だからこそ、いわばディストピアとも呼べる閉塞した環境に陥りましたが)。

末代まで祟ると言わんばかりの、まるで鬱憤晴らしのようなアグロ対策は、デッキデザイナーの解放感と怨嗟の声に思えますね。

残念ながら、《民兵のラッパ手》を何回唱えようと、所詮はパワー2以下の貧弱な(1枚は除いて)クリーチャー群が手札に加わるだけです。

1対軽量クリーチャーの複数交換を繰り返していけば、どこかで負けるのは自明の理。

だからこそ――《栄光をもたらすもの》や《スカラベの神》が去り、5マナクリーチャー界筆頭候補に躍り出た、単体クリーチャー最強の戦闘能力を持つ《黎明をもたらす者ライラ》の出番であり再評価なのです。

地上が固まりやすい環境なのも追い風でしょう。

《殺戮の暴君》が並ぼうとも、《黎明をもたらす者ライラ》であれば勝利をつかむことが出来ます。

そうした中――天使シナジーに着目したデッキが、勝ち数を重ねています。

ボロス天使です。

先日おこなわれたMOPTQにおいても8位入賞。早速大手MTG小売店である晴れる屋でデッキ販売が行われています。

現環境における有力な仮想敵と目され、過剰なまでの対策が施される側のボロスにとって、勝ち組といえる戦略なのではないでしょうか。




3ターン目:《輝かしい天使》
4ターン目:《正義の模範、オレリア》
5ターン目:《黎明をもたらす者ライラ》

この神話レア天使の大判振る舞いは、非常に強力です。マナカーブに沿って順番に出すだけで、簡単に場を掌握できるでしょう。

あまり活躍してこれなかった基本セット2019収録の《輝かしい天使》ですが、《正義の模範、オレリア》という歴代屈指の4マナ天使と組み合わさることで、ついにその真価を発揮する時がきました。

しかし、このリストもそうなのですが、現行のデッキには不満点があります。ほとんどのボロス天使における軽量クリーチャーの選択がどうにも気にいらないのです。

概ね、《善意の騎士》+《ベナリア史》と《アダントの先兵》が採用されていますが、それは強いのかと。

《ベナリア史》の部族シナジーを生かすために、《善意の騎士》が入っているのでしょう。黒のクリーチャーを多数使用するゴルガリも隆盛の兆しをみせてはいます。

それでも
、あまり入れたいカードではありません。相手が黒くなければ、先制持ちの2/2/2。2ターン目以外、出したいとは思えないカードです。

《ベナリア史》も同様です。自分がその強さに懐疑的なのは、3ターン目以外、出しても強いとは思えないカードだからです。

3-4-5ターンと連打すれば、それはまた別ですが。

余談ですが、行弘プロは《ベナリア史》を高く評価し、市川プロはそこまで評価していませんでした。

人によってわかれるカードなのでしょう。

しかし、天使シナジーは生かしたい。生かせれば――そこで、《民兵のラッパ手》型で手に入れた知見を加え――デッキができた。

かなり強そう。これこそ、平成のアブザンアグロなのでは?

いやぁ、ソリューションできてもうたなぁ! スタン神挑戦者決定戦もFAINALS予選ももろたで!(ほんまに?)

平成のアブザンアグロ仮(ボロス天使風味)

クリーチャー:26枚
2《ゴブリンの旗持ち》
4《サンホームの重鎮》
4《ボロスの挑戦者》
4《軍勢の戦親分》
4《輝かしい天使》
4《正義の模範、オレリア》
4《黎明をもたらす者ライラ》

呪文:8枚
4《正義の一撃》
2《稲妻の一撃》
2《議事会の裁き》

土地:26枚
4《聖なる鋳造所》
4《戦場の鍛冶場》
10《平地》
8《山》

サイドボード
4《希望の目覚め》
3《轟音のクラリオン》
3《溶岩コイル》
2《残骸の漂着》
3何か

というわけで、現在調整しているのがこのボロス天使です。

《ベナリア史》を排し、騎士シナジーをなくしました。代わりとなる軽量クリーチャーは、教導持ちで固めています。

デッキの軸となる戦略は、2つです。

教導+《軍勢の戦親分》の軽量クリーチャーのラインと、天使シナジーの二つのラインになります。

教導持ちクリーチャーは、豪華18体の採用と相成りました。スタンで使えるスペックのものは殆ど入っています。

教導持ちクリーチャーは、謂わば疑似ロード。《黎明をもたらす者ライラ》を含めると、22枚のクリーチャーがロードとして扱えます。

土地が詰まると負けるため、26枚採用。フラッドしやすいため、マナの吐き出し口は10枚。パンプした《輝かしい天使》から天使トークンが出れば概ね勝ちです。

除去に関してはまだ試行錯誤の段階です。《黎明をもたらす者ライラ》を除去できるものを優先していますが、メタゲームに合わせる必要があるでしょう。

今回のデッキはかなり気に入っているので、カード1枚ごとに簡単な評価と採用理由を述べていきます。

基本、強いカードを入れているだけです(強い故)。

イニストラード期のラクドスミッドレンジも、そうでしたね。端から順番に出せば勝てる、それが強いデッキの合言葉です(暴論)。

《ゴブリンの旗持ち》


唯一採用した1マナ域。

火吹き能力を持ち、パンプすればパワー2のクリーチャー群を強化可能です。

アグロ~ミッドレンジ相手には弱く、秒でサイドアウトしますが、コントロール相手には強いカードです。

1ターン目プレイ、2ターン目2マナクリーチャー、3ターン目パワーを上げて教導は、序盤の動きとして悪くはありません。

そこから除去をうつなりオレリアを出すなり好きにして下さい。

1つ+1/+1カウンターが乗ると、次々に育ち始めるのが教導です。

ただし、採用し続けるかは迷っているところです。

《サンホームの重鎮》


燻し銀。縁の下の力持ち、アブザンアグロの《荒野の後継者》枠。

オレリアのパンプ枠として優秀です。また、赤単の攻勢を押しとどめる役割があります。

《軍勢の戦親分》との関係は良好で、3ターン目に6点クロックが作成できます。

《灰色熊》も強くなったものです。

《ボロスの挑戦者》



2/2/3という優秀なスタッツに、教導+パンプ能力を併せ持つ、強いことしか書いていない化け物クリーチャー。

マルチカラーとはいえやりすぎではないでしょうか。

タフネス3は非常に好印象。

というのも、この環境の最速アグロは赤単であり、《サンホームの重鎮》の欄でも少し述べましたが、その攻勢をいかにして凌ぎ、《黎明をもたらす者ライラ》に繋げるかが勝利の鍵となります。

3という数字は一つのキーワードで、赤単側が1枚で対処するには面倒な数字です。

また攻めの面でも、教導持ちとして、序盤から殴っていきやすいです。

そのスタッツでアグロに、教導でミッドレンジに、パンプ能力でコントロールにと、無茶苦茶なカードです。

《軍勢の戦親分》

毎回毎回ラヴニカ次元来訪の際に登場したあのゴブリンが、ここまで昇進しましたとさ。

平成のラブルマスターですが、1体生き残れば勝ち――とはいえません。

デメリットがない分、凶悪な打撃能力もなくなっています。教導を持つので、理知的になったといえるかもしれません。

コントロール相手であれば1枚で勝つことも可能です。2マナの教導持ちとのシナジーは良好で、まさにコンボ。

とはいえ、アグロ相手には腐りやすく、サイドアウトしやすいカードです。

序盤は2マナの教導持ち→《軍勢の戦親分》と動ければ理想で、一つの勝ちパターンです。あとは適宜ブロッカーを除去すれば勝手に勝利しています。

《輝かしい天使》


天使シナジー要素その1。

随分と値上がってきました。

3/3/3というスタッツに、飛行、トークン出し、パンプと3つのメリットを持つ破格のカード――のはずが、微妙にかみ合わせが悪く前環境では出番がありませんでした。

しかし、現在はあちこちで姿を見せ始めています。

トークンを出せれば勝ち。

パンプして通ればつまり勝ち。

生き残れば勝ちにぐっと近づくカードです。

万歳アタックは6マナ必要ですが、運を天に任せてやってしまいましょう。除去がなければ勝ちです。

余談ですが、自身が絆魂持ち、パンプは全天使だと思っていました。さすがに強すぎですね(白目)。

在りし日のアナフェンザみたいなものです。

ここから、今回紹介しているボロスは色合いを変えていきます。

ミッドレンジ戦略の要です。

《正義の模範、オレリア》



ボロス隆盛の立役者。

現環境の出発点に、間違いなくこのカードは名を連ねるでしょう。

飛行、教導、戦闘開始時の強化能力という、まさにオリカのようなテキストです。

強化能力は疑似速攻であり教導の強化であり警戒もあると攻防一体、場に出たときに仕事をしてしまいます。

天使シナジーその2、というよりも、ボロスというデッキの中核であり、オレリアこそがボロスです(何?)?。

また、4/2/5というスタッツが非常に優秀で、3マナ以下の全体除去や、《溶岩コイル》、《正義の一撃》に耐性を持っています。

赤単でこの化け物と1対1で交換できるカードは《火による戦い》しかありません。

引けば勝てます。

4枚入れましょう。

手札にだぶついても問題ありません。場に定着したら、おおむね勝ちます。

《包囲サイ》ですね。

《黎明をもたらす者ライラ》

天使シナジー正しくその2。

平成の《悪斬の天使》は、発売当初こそコントロールのフィニッシャー候補として注目されたものの、《ドミナリアの英雄、テフェリー》や《スカラベの神》に敗れ、サイドボードに追いやられていました。

しかし、カラディシュandアモンケット亡き今のスタンダード環境であれば、その真価をフルに発揮できます。

インクの汚れと思われていた天使ロードの能力がここにきて輝き始め、5ターン目にオレリアが絆魂+1/+1and警戒・トランプル・+2/+0で殴りかかるとダメージレースが灰燼に帰します。

その際、隣に《輝かしい天使》がいれば、5/5警戒・絆魂の天使トークンが爆誕することに。

5ターン目に5/5/5飛行先制絆魂、4/3/6飛行教導絆魂、3/4/4飛行絆魂、0/5/5飛行警戒絆魂という面々が揃ってしまえば、負けることはないでしょう。

それが3→4→5と順番に出すだけで達成できるのです。

赤単やボロス、鉄葉ストンピィ相手には、このカードが定着すれば勝ちです。

《殺戮の暴君》ともダメージレースで勝利できます。

コントロール相手にも、そのロード能力と凄まじい戦闘能力で仕事をします。

強い。

4枚入れましょう。


ロック鳥です。

除去枠

結構、雑にみえますし、雑です(マテ)。

赤白の有用な除去が多すぎます。除去といえば赤白になってしまいましたとさ。

《正義の一撃》

現環境であればほぼ万能除去。

落とせないのは《正義の模範、オレリア》ぐらいで、ライラもフェロキスもミゼットもニコルも破滅を囁くものも大体落とせます。

教導持ちが多い関係上、ブロッククリーチャーがいて殴れないのが一番困ります。

コントロール相手には腐りますが、それはまあまあ。

《稲妻の一撃》

キープ基準として必要かなとこの枚数。

初期は《議事会の裁き》4、《正義の一撃》4としていましたが、《議事会の裁き》はキープ基準にならないのでこの枚数に。

派手なカードに目を奪われがちなこのデッキですが、2マナ以下が16枚とまずまずな枚数を揃えています。

環境を定義づけるカードですが、あくまで必要最低限、差し替えても問題ないでしょう。

《議事会の裁き》

キープ基準にはしづらいですが、このデッキの《ヴラスカの侮辱》枠。

オレリアによる警戒付与やトークンを生み出せるこのデッキであれば、概ね2~3マナでプレイできるでしょう。

《アズカンタの探索》や《ドミナリアの英雄、テフェリー》をどうにかするカードがほしいと思い、採用しました。

最初は4枚でしたが、複数枚引くともっさりしてしまうため、徐々に枚数を減らしています。0枚でもいいかなと思い始めています。

土地

土地に関しては、タップインランドや《廃墟の地》を検討中。1ターン目以降、タップインランドは絶対に引きたくないとはいえ、少しマナソースにはゆとりをもたせたいです。

《霊気拠点》のありがたみをしみじみ感じますね。

また、2色なので、能力持ちの土地の採用があってもいい気がしています。

が、《廃墟の地》はマナソースの負担が高くなってしまいます。かといって、能力付きの有色ランドに、有効なものないんですよね。

サイドボード

わかりやすい、はず。コントロールと、アグロ対策を中心に。

今回挙げなかったメイン候補は、《豊潤の声、シャライ》と《轟音のクラリオン》でしょうか。

カンパニーデッキの勝ち手段としてお馴染み、緑マナがないとはいえ除去耐性付与の天使は強力です。メイン採用も考えていいレベルに強いです。《ゴブリンの旗持ち》と交換で採用してみたい。

その際は、緑マナも出せるようにしておきたいです。グルールが未収録なのが悔やまれますが、何とかしましょう。

もしかしたら、同型の突破口になるかもしれません。《ガヴォニーの居住区》でお馴染み、糞アグロ戦略も可能となります。

ただし、そのアグロ要因は全員教導持ちですが。

《轟音のクラリオン》のメイン投入は、赤アグロやトークン戦略を否定するとともに、ライフゲインによる天使トークンの生成も目指せます。

ちなみに、行弘プロの新セット放送では、とりあえず3点全体火力という程度で絆魂付与の意味がわからないという評価でしたが、使ってみたら無茶苦茶強いです。

今までの3点火力界では随一の強さですね。


終わりに
というわけで、現環境のアブザンアグロ感のあるボロス天使はいかがだったでしょうか?

カードの引き増しこそできませんが、どのタイミングにおいても強いカードで固めてあり、そこまで気にならないと思います。

1枚1枚のカードパワーが強力であり、マナフラッドにもマナスクリューにも対応可能。

飛行クリーチャーで膠着した戦線を突破可能。

教導でどんどん強くなるのが楽しい。

圧力のある、扱いやすいデッキです。

これこそ平成のアブザンアグロではないでしょうか?

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