10/14に行われたMOPTQは衝撃的な結果でした。
多種多様なデッキが存在し、混迷極まるスタンダード――のはずが、予想を覆される結果になりました。
ある系統のデッキが、ベスト8に6人、1-32位までに12人のプレイヤーを送り込み、優勝をかっさらったのです。
緑黒――記憶を失ったヴラスカを女王に冠する、ゴルガリ団の躍進です。
ゴルガリミッドレンジ（MOPTQ1位）
クリーチャー：２８枚
４《ラノワールのエルフ》
４《マーウォークの枝渡り》
３《探究者の従者》
２《野茂み歩き》
１《管区の案内人》
４《翡翠光のレインジャー》
３《貪欲なチュパカブラ》
２《ゴルガリの捨売人》
４《破滅を囁くもの》
１《千の目、アイゾーニ》
呪文：９枚
２《暗殺者の戦利品》
２《採取＋最終》
２《ゴルガリの女王、ヴラスカ》
３《秘宝探究者、ヴラスカ》
土地：２３枚
４《草むした墓》
４《森林の墓地》
８《森》
７《沼》
サイドボード
３《強迫》
３《渇望の時》
２《最古再誕》
２《ヴラスカの侮辱》
１《ビビアン・リード》
１《千の目、アイゾーニ》
１《野茂み歩き》
１《採取＋最終》
１《アルゲールの断血》
緑黒ミッドレンジは徐々に隆盛の兆しをみせていましたが、今回のMOPTQで花開きました。
前環境より、エンチャント版PWといえる《最古再誕》や、6マナ域最強カードの一角である《秘宝探究者、ヴラスカ》を擁していた色ですが、《暗殺者の戦利品》を筆頭とするゴルガリ団のカード群を手に入れ大幅に強化されました。
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| スタンだとふつうー。 |
優勝者のデッキレシピは、《ラノワールのエルフ》によるマナ加速で同型戦を見据えつつ、《差滅を囁くもの》を採用し苦手だった飛行クリーチャーに対する耐性をつけています。《最古再誕》をメインから抜いたのも、同型を見据えてのことでしょう。クリーチャーを1枚生贄も1枚ハンデスも1枚墓地回収も、有効活用できませんからね。
この構成とベスト8を見て、このトーナメントのソリューションだなという印象を受けました。
かってスタンを圧巻し禁止カードを余儀なくされたティムールエネルギー同様に、緑黒ミッドレンジもアドバンテージのとれるクリーチャーを大量に採用し、かつ攻め手としての圧力が高いです。禁止になるような飛びぬけて強いカードはないのですが、デッキの強さに厚みがあるのです。
それでは、各種カードや戦略の説明を行っていきます。
序盤はまず、探検クリーチャー＋《野茂み歩き》のタッグが重要です。生半可のビートダウンを完封し、アドバンテージを稼いでいくとともに、2/3/2、2/2/3、3/4/3という優秀なサイズはコントロール側がドロー呪文を唱える隙を許しません。
《ラノワールのエルフ》→《翡翠光のレインジャー》という動きも、序盤としては最高級のものでしょう。
サイズの大きい永遠の証人こと《ゴルガリの捨売人》と《採取》は、現代MTGおける勝利の方程式、雪だるま式のアドバンテージを約束します。
《ゴルガリの捨売人》は、元のサイズが大きいのも利点ですね。《ゴブリンの鎖回し》にも競り勝ちます。
《貪欲なチュパカブラ》は点で押すデッキに強く、《最終》はトークンでっきのような面で押すデッキをカバーします。また、採用されているPWは基本的に除去でありアドバンテージ源です。
通常、効くor効かないデッキがはっきりしたカードを大量に採用すると、デッキが機能不全を起こすのですが、その点は「探検」という疑似占術スペルが補っています。
アドバンテージとプレッシャーを兼ね添え、かつライフゲインも可能という、弱点らしい弱点のない強デッキではないでしょうか。
このデッキの登場により、《秘宝探究者、ヴラスカ》や《翡翠光のレインジャー》、《ビビアン・リード》の値段が急上昇しています。
特に、《ビビアン・リード》に注目です。
基本セット2019で登場した、緑の新PW。除去＋ドローというアドのとれる典型的な5マナのPWという立ち位置でしたが、《再燃するフェニックス》や《屑鉄場のたかり屋》、《スカラベの神》や《熱烈の神、ハゾレト》といった凄まじい除去耐性や圧倒的なアドバンテージ源、速攻持ちがおり、同マナ域にカラデシュ版ニッサもいたため、サイドですら採用が見送られてきました。
しかし、【カラデシュ】ー【アモンケット】のスタン落ちにより、《正義の模範、オレリア》や《黎明をもたらす者、ライラ》、《最古再誕》が幅をきかせ、強力な速攻持ちの少なくなった現代であればその実力を遺憾なく発揮できます。
《黎明をもたらすもの、ライラ》同様に、時代に愛され始めたということでしょうか。
スタン暗黒期に発売された基本セット2019は、目玉カードも少なく全体的なカードパワーも抑えめ（下の環境にも影響を与えましたが）だったため、あまり剥かれていなかったようです。多色土地もなく、このままでは間違いなく福袋入り。そのため、《ビビアン・リード》も例にもれず、需要と供給が崩壊してしまいましたとさ。
黒緑ミッドレンジは、大まかに分けると2種類存在します。
全除去＋PW多めのタイプと《ラノワールのエルフ》で加速するタイプです。
細かい部分は、さらに多種多様。《破滅を囁くもの》も、優勝者のデッキにしか採用されていません。
現在、ブログ主の使用デッキである赤白天使を含め、多くのミッドレンジ戦略の上位互換といえる立ち位置にあるのではないでしょうか。
恐ろしいデッキが登場したたものです。
しかし、緑黒はこれだけではありません。
もう一つ――平成のカンパニーこと、マドハンドと愛称されるとあるカードの研究も進んでいるのです。
そう、《陰惨な生類》です。
ゴルガリマドハンドが完成（５-０）したので寝ます。ゴルガリライダーはスマッシャーであり、マリッドレイジ🤔 pic.twitter.com/7olaYzwle2— Takimura Kazuyuki (@kozoukun2) 2018年10月9日
ドレッジやホロウヴァインといった、墓地を利用するデッキを愛用するPT王者瀧村プロが使用したのが、マドハンドこと《陰惨な生類》を使用した緑黒アグロデッキです。
「緑黒マドハンド」
クリーチャー：３４枚
４《生皮収集家》
４《縫い師への供給者》
４《光胞子のシャーマン》
４《マーウォークの枝渡り》
４《翡翠光のレインジャー》
４《疫病造り師》
４《ゴルガリの略奪者》
２《貪欲なチュパカブラ》
４《腐れ巨人》
呪文：４枚
４《陰惨な生類》
土地：２２枚
４《草むした墓》
４《森林の墓地》
４《愚蒙の記念像》
６《森》
４《沼》
サイドボード
３《致死性の傷》
２《物盗りインプ》
２《帆凧の掠め盗り》
２《クロールの銛撃ち》
２《貪る屍肉あさり》
２《ヤヴィマヤの化身》
１《疫病牝馬》
１《貪欲なチュパカブラ》
呪文は《陰惨な生類》のみ、【ラヴニカのギルド】で登場したゴルガリ固有のキーワードである宿根を生かしたアグロデッキです。
戦略は単純明快、手札を吐き出し、墓地を肥し、《陰惨な生類》や《ゴルガリの略奪者》で勝負を決めます。
クリーチャーのほとんどが、場に出たときに何らかの仕事をします。緑黒ミッドレンジもそうでしたが、緑の戦略の幅は凄いですね。
クリーチャー陣が優秀、それすらも大幅に上回った赤黒ミッドレンジや禁止改定前のティムールミッドレンジは凄いデッキだったんだなー。
こっちは回すのが楽しそうですが、マナベースの歪さが心配な部分。また、その日の墓地力も必要であり、右手力が試されます。
おわりに
緑黒ミッドレンジは環境の王者となるのでしょうか。それとも、新たな戦略がそれを阻むのでしょうか？
現在使用している赤白天使には若干煮詰まり感があり、緑黒ミッドレンジに相性が悪いのが辛いところ。
《豊潤の声、シャライ》をメインに投入し、緑マナが出るように調整してナヤ天使にしていますが、能力を使う機会はほとんどなく（笑）。
それでも、何だかんだで店舗大会ではよく勝ちます。FNMもショーダウンも、3-0×2回と優秀な成績。
FNM3-0/2-1、ショーダウン3-0、環境初陣戦6-2と、いい成績なんですよね。
このままでは緑黒に乗り換えを――手持ちのカードを処分しないと、簡単にはできませんが。《翡翠光のレインジャー》、以前4枚売ってしまいました。
買いなおすの憂鬱。やはり、わいには株の才能が（苦笑）
でも、緑黒という色は好き。
除去＋アドクリーチャーという構成は、大好きです。
気になるのが、t青により《ドミナリアの英雄、テフェリー》の採用したジェイスカイ天使です。
PW界最強が未だテフェリーなのは揺るぎがないところ。なにせ、スタンはもとよりレガシーやモダンでも神ジェイスとともに使用されていますからね。
《轟音のクラリオン》と《ドミナリアの英雄、テフェリー》を積み、なおかつアグロにも動けるデッキが作れれば！？
《ウルザの後継、カーン》を採用し、軽量クリチャーを排したナヤ天使は使い勝手が悪かったですが、アドバンテージ源はほしいところと考えていました。
航空戦力による戦闘能力はぴか一ですからね。
こんな感じ？
クリーチャー：２４枚
４《ボロスの挑戦者》
３《サンホームの重鎮》
３《ゴブリンの戦親分》
４《輝かしい天使》
２《豊潤の声、シャライ》
４《正義の模範、オレリア》
４《黎明をもたらすもの、ライラ》
呪文：１２枚
３《裁きの一撃》
３《溶岩コイル》
２《ウルザの後継、カーン》
３《ドミナリアの英雄、テフェリー》
土地：てきとうー
クラリオン抜けたなぁ。
教導持ち→戦親分と、3-4-5の天使ラインを残しつつ、PWでアドバンテージをとっていけるように。一応、テフェリーは除去枠（除去故）
事故らなければ、そこそこ強そう。
これもダメなら、諦めて緑黒に乗り換えかな。
うーん、緑黒以外には強いんだけどなー。
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